「中小企業における個人保証等の在り方研究会」:代表者の行き過ぎた個人保証を防ぐガイドライン策定へ!
中小企業経営者の不安を払拭、指針策定
金融庁と中小企業庁は5月2日、中小企業経営者が金融機関などから融資を受ける際、自らが保証人となる個人保証において、返済のために全財産を失うなど過酷な状況に陥ることを防ぐガイドライン(指針)を策定することを発表。中小企業の経営に伴う不安を払拭し、円滑な事業承継や新たな事業への起業を促します。
経営者の個人保証は、中小企業向け融資で8割超えが応じており、経営者のモラルハザードを防ぐ一方で、全財産を失う恐れがあるため早期の倒産を決められず、再建できるタイミングを失い経営悪化させることが指摘されていました。
個人保証の在り方研究会:個人保証に依存しない融資を促進
金融庁と中小企業庁は、今年1月から「中小企業における個人保証等の在り方研究会」を6回にわたり開催し議論をすすめてきました。5月2日に発表した「中小企業における個人保証等の在り方研究会報告書」によると、個人保証だけに依存しない融資の促進や、個人保証額・契約の適正化を図るとしています。
一方、私的整理では事業再生を目指す場合、これまで一般的であった経営者の退任が見直され、継続して経営に携わることも認めるとしています。中小企業経営者は、個人保証により「精神的負担が大きい」、「事業承継が難しい」などの指摘がガイドラインに反映されます。
金融庁「ガイドライン」策定により初の関与、民間金融機関・中小企業の融資契約
個人保証は、これまで中小企業と金融機関との民間の契約に金融庁では「位置づけは任意の紳士協定」としていましたが、ガイドライン策定という形で初めて政府が関与することになります。中小企業への融資では、個人保証人の資産と比べ過大な事業の負担や、金融機関などからの、融資先企業への目利きの低下など指摘されていましたが、ガイドライン策定により課題は解消されます。
研究会の報告書によると、個人保証の機能を代替えする融資手法についてABL(Asset-based lending:動産担保融資)や金利の上乗せ、物的担保などの併用によりリスクに見合った融資を行うなどの活用例が挙げられています。
アベノミクスでは重要な役割「中小企業の活力」
経営者に対する個人保証は、中小企業向け融資の円滑化に寄与してきた一方で、経営の高度化に向けた意欲を阻害してきた面も課題となっていました。アベノミクス三本目の矢となる成長戦略における「成長による富の創出」には、中小企業の活力が重要な役割を担います。そのための起業や事業承継、事業再生などで課題となる個人保証に関するガイドライン策定により、金融の円滑化を通じ中小企業の活力が引き出されることが期待されます。
今年3月末には、中小企業円滑化法が期限切れとなり、金融庁と中小企業庁ではガイドライン策定で中小企業への金融支援を後押しします。
●関連記事:「第三者の個人保証の次は経営者保証「全財産没収防止のルール新設」で合意!経営者の再チャレンジ後押し」[2013.3.28配信]
●関連記事:「第三者個人保証の排除、円滑な資金供給の障害/明治以前から引きづる民法改正!」[2013.2.21配信]
[2013.5.11]
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