森林法改正では死守できず、日本の水資源守れ!「水循環基本法案」の早期成立で外国資本の森林売買を阻止
外国資本の国内の森林買収、昨年は前年の1/10に減少
農林水産省は4月12日、平成24年に外国資本による国内の森林買収に関し、都道府県を通じて行った調査結果を発表。買収された国内の森林は、少なくとも8ケ所で計16ヘクタールに上ることが判明しました。外国資本による森林買収は、平成23年には14ケ所、計157ヘクタール判明しており、昨年は約1/10に縮小しました。
外国の企業や個人が森林買収する問題は、平成23年に群馬県で44ヘクタールの水利権付きの土地をシンガポール人が購入。自治体へ届出があったことで水不足を懸念する地域住民が猛反発し大騒ぎとなりました。昨年4月には森林法が改正され、面積に関わらず土地の取引には90日以内に知事への届出が義務づけられましたが、届出後に土地所有者が財産権を主張すればなす術はありません。
森林購入者は豪州やヴァージン諸島、中国、台湾の企業・個人
購入が確認されたのは、北海道のニセコ町や倶知安町のほか、栃木の那須塩原や神奈川の箱根、真鶴など豪州や英領ヴァージン諸島、中国、台湾の法人、個人が買収。利用目的では資産保有や住宅用地としています。
行政が保有する情報は、「森林法」や「国土利用計画法」、「不動産登記法」に基づき届出のあった土地売買で、今回判明した8ケ所のうち3件が「森林法」の届出で残り5件は「その他」。偶然判明したのか氷山の一角とも伺える結果に、日本人・企業が外国人に名義貸しすれば実態は把握はできません。
現行のWTOルール:外国資本を理由に森林買収は制限できず
安倍首相は3月27日、参院財政金融委員会で水源となる国内の森林が中国など外国資本に買収される問題について、「新たな法整備を含め、しっかり研究する」と対策を講じる意向を表明。現行のWTO(World Trade Organization:世界貿易機構)のルールでは、外国資本を理由に森林買収を制限することはできず、規制強化へ向けた議論が急がれます。
石原環境相が代表となる超党派の「水制度改革議員連盟」は、今年2月に政権交代後、初の会合を開き「水循環基本法案」の早期成立を確認。5月の連休明けには法案を策定し、国会へ提出するとしています。
これまで東京ドーム160個分の森林が外国資本へ
林野庁によると外国資本による森林買収は、平成24年末までに68件、約801ヘクタールに上り、東京ドーム約160個分。昨年の森林法改正後も各自治体では、水源を保全するため独自の条例を制定するケースも目立ちます。
今回の調査では、国内に事業所を持つ外国資本企業の森林購入も4ケ所、130ヘクタールが判明。前年の30ヘクタールから大幅に増加しています。水循環の取組みについて国際的な強調のもと、国内の水資源を統括する本部の設置や法案成立が急がれます。
●関連記事:「1年間で3.5倍!外資による森林買収急増/深刻化する「我国引水」どう食い止める」[2012.5.24配信]
[2013.4.19]
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