国産ジーンズのパイオニア「BIG JOHN」再建に官民ファンド出資/国内大手も破産、巨額損失...低価格商品、ファストファッション急伸で縮小するジーンズ市場
国産ジーンズの先駆け「BIG JOHN」官民ファンド出資で経営再建!
4月5日、ジーンズメーカー、株式会社ビッグジョン(岡山県倉敷市児島下の町1‐12‐27/代表取締役社長:市原修氏)の再建計画が発表されました。地元銀行や岡山県の信用保証協会が出資する官民一体型中小企業再生ファンド「おかやま企業再生ファンド」の支援を受けて経営再建に向かいます。
官民ファンドが金融機関から債権を買い取るとともに、中国銀行の新規融資で約3億円の金融支援ことでおよそ40億円の借入金を大幅に圧縮。本社工場は閉鎖し、今後は中国の子会社と地元の協力工場による生産へと移行するとのことです。
20年で売上1/8に減少/売りの「低価格」もファストファッションの急伸に押され
昭和15年創業の同社は日本で初めてジーンズを製造した、国産ジーンズのパイオニア。社名にもなった「BIG JOHN」をはじめ、人気ブランドを多く擁し、ピークの平成5年1月期には182億円を売り上げていました。
国内では量販店向け3,000円台の低価格ジーンズを主力商品の一つとしていましたが、「1,000円以下」など、景気後退とともに急増した格安ジーンズに押される形に。近年続々進出しているファストブランドの台頭も、大きな打撃を与えています。
昨年には香港企業とライセンス契約を締結し、国内のみならずアジア諸国でも商品展開を行っていますが、平成25年1月期の売上は約25億円にとどまりました。
縮小するジーンズ市場
日本のジーンズ業界では、昨年6月に株式会社ボブソン(東京都港区南青/破産管財人:平山隆幸弁護士)が破産。同じく8月末には株式会社エドウイン商事(東京都荒川区東日暮里3‐27‐6/代表取締役:常見修二氏)の巨額損失隠しが発覚し、経営再建問題が尾を引いています。今回のビッグジョンを含め、国内大手ジーンズブランドとして君臨してきた3社がいずれも事実上の経営破綻に見舞われました。また国内メーカーではありませんが、リーバイ・ストラウス ジャパン株式会社(東京都港区南青山1‐1‐1/代表取締役社長:齋藤貴氏)も売上高が100億円未満に低下し、赤字決算が続くなど、業界全体の低迷が問題視されています。
「デニムの聖地」も衰退?!地場産業の危機に晒される岡山
このうち、ボブソンとビッグジョンは岡山県を地盤とする企業。ご存じの方も多いでしょうが、「倉敷デニム」などブランディングされているように、岡山といえば世界有数の「デニムの聖地」です。ジーンズ製造が雇用を生み、地域経済を潤してきました。
ところが、国産ジーンズがかつての勢いを失っているいま、事業所や雇用の減少も深刻化しているのが実態。今回ビッグジョンの再建に自治体が絡むのも道理と言えましょう。
破産の「BOBSON」復活!創業家がブランド買戻し
「BOBSON」ブランドは昨年6月にメーカーが破産したことで、市場から消えると思われましたが、創業家が平成24年4月に設立した株式会社ボブソンホールディングス(岡山県岡山市北区平野978/代表取締役:尾崎博志氏)によって11月にブランド再取得。半年置かずして再販に至っています。
実は「BOBSON」ブランドは過去3度に渡ってオーナーが代わっているとのこと。その都度消滅の危機に晒されながらしぶとく復活する様に、ブランドの底力を実感。また、ブランド買い戻しのため新会社設立に奔走した尾崎社長の熱意にも、事業再生屋として、一経営者として、感動を覚えます。
[2013.4.18]
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