2040年には全都道府県で人口減、65歳以上が3割超!/少子化対策「ベビノミクス」始動
超高齢化!2040年問題/全都道府県で人口減、65歳以上が3割超に:厚労省推計
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は3月27日、2040年の日本の人口が、全ての都道府県で2010年と比べて減少するとの推計を公表。また、65歳以上の人口の割合(高齢化率)が3割を超えることも予測されています。
30年後の都道府県別の人口推計は、おおむね5年に1度実施されており、今回で6回目。人口減と高齢化率3割超が全都道府県に及ぶとの推計は初めてのこと。特に北海道、高知など25道県は人口減少率が2割を超え、うち秋田、青森両県は3割を超えるなど、人口減と少子・高齢化の一層の進行が鮮明になりました。
少子化改善が急務!官房長官「出生率2.0目標」
これを受け、政府は少子化対策を講じ、女性が生涯で産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率の引き上げを図っています。菅義偉官房長官は同日の記者会見で、政府の少子化対策の一環として「出生率2.0との目標に挑戦することも一つの考え」と具体的な数値目標の設定に言及しました。
人口減少を食い止めるために必要なのが出生率2.0という水準です。しかし、出生率は昭和50年に2.0を割り込んで以降は低下傾向が続いています。平成17年には最低の1.26まで落ち込み、直近の平成23年で1.39と、2.0には遠く及びません。
「先進国」フランス、少子化対策の関連予算は日本の3倍
先進諸国で「少子化対策の先進国」とされるのはフランスです。1990年代に出生率が1.66まで落ち込みましたが、少子化対策に国内総生産(GDP)の3%程度を毎年つぎ込み、2011年に2.0まで回復しました。
日本政府もこの実例に倣おうという考えですが、日本の現行の少子化対策関連予算はフランスの三分の一程度にとどまります。若い世代が結婚し子育てができる収入を得られる社会、女性が子育てしながら働ける企業制度や保育所の整備など、課題は山積しています。
政府「ベビノミクス」推進
少子高齢化が進めば、社会保障制度の維持が難しくなるだけでなく、国力そのものの低下を招くと懸念されています。安倍晋三首相は森雅子少子化担当相に対し「少子化対策は国益に直結する。最優先で取り組んでほしい」と指示。政府は有識者による「少子化危機突破タスクフォース」を設置し、具体策の検討を開始。27日に開催された会合において、森氏は安倍晋三内閣の経済政策「アベノミクス」と「ベビー」をもじり、「ベビノミクス」を行うと宣言しました。
ターゲットは新婚さん/公営住宅への入居斡旋、婚活支援など
政府は少子化対策の切り札として、公営住宅への優先入居など新婚夫婦をターゲットとした制度設計に乗り出します。
新婚家庭に対する公営住宅の斡旋はすでに東京都中央区など全国で実施されており、先行実施している自治体への本格的な財政支援策も講じていくとのこと。このほか、作業部会では「結婚」「妊娠」「出産」「育児」の4段階ごとにきめ細かな支援を早急に進める方針で、出会いのない若い男女向けの"婚活"支援も行うとしています。
従来の少子化対策は、出産後の産休や育休など子育て世代中心の支援となっていましたが、経済的理由から子供を持たない世帯や結婚に踏み切れない若年層に対する支援にシフトする方針。しかし、景気や雇用の不安が解消しないままでは、人口が増えても国力向上はままなりません。長期的・総合的な計画の策定が求められます。
[2013.4.3]
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