インド高速鉄道構想、日本の新幹線技術の採用へ!ハードに運転技術・安全管理のソフトで差別化、付加価値高め受注へ
まずは7路線中1路線の受注獲得へ、所用10時間が2時間に大幅短縮
日本とインド両政府は、インド国内の高速鉄道事業に日本の新幹線の技術を採用することで合意する見通しとメディアが報じました。インドのシン首相が5月に来日を予定しており、首脳会談で合意の確認を目指しています。
インドでは、平成21年に高速鉄道整備構想を計画。ニューデリーやムンバイなど主要都市を結ぶ7路線の整備を目指し、日本やフランス、スペインなどが売り込みをかけていました。今回、日本の新幹線技術が導入される見通しとなったのは西部のムンバイとアーメダバード間を結ぶ約500kmの路線。現在の所要時間は約10時間かかり、新幹線の導入で約2時間に短縮される予定です。
官民一体でトップセールス、インフラ整備の資金援助でフランス企業の巻き返し図る
今年2月11日、アーメダバードで行われた「インド高速セミナー」では、国土交通省やJR東日本、川崎重工業などがトップセールスを行い、開業以来、乗客の死傷者ゼロの安全性や正確性、環境性に優れる新幹線の魅力を訴えました。
インドへの高速鉄道事業の売り込みは、欧州勢がリードしておりフランスのアルストムが有力とされているものの、日本勢は政府のムンバイインフラ整備の資金援助を追い風に官民一体で訴え、受注を目指します。日本連合の新幹線受注では、平成19年に台湾新幹線の台北・高雄間の大型受注を獲得。実績からもインド新幹線受注への期待は高まります。
経験乏しい運転技術、安全管理などソフト面も受注へ
JR東日本では、車両本体や路線、架線などハードのほか、運行管理や保守整備などのソフト面の受注を目指しています。台湾新幹線など、新興国の運転技術や安全管理などの経験は乏しくソフト面を抱える必要もあり、現場の人材を含め技術者の海外派遣も注力。運転士や車両整備などの人材育成に加え、今年2月に導入された自動運転機能を備えた最先端車両などハードとソフトを集結し受注を図ります。
日本連合は、インドの高速鉄道事業でハードとソフト一体の新幹線導入を目指すものの、資金の確保や電力の安定供給などインフラ整備に課題も残ります。エネルギーや金融など官民一体のパッケージインフラ輸出にも注力が望まれます。
安倍首相:日米首脳会談ではリニア技術を訴求
海外ではリーマン・ショックで遅れていた高速鉄道構想の計画が動き出しています。インドをはじめ、英国では日立製作所が高速車両を受注。2月の日米首脳会談では安倍首相がワシントン・ニューヨーク・ボストンを結ぶ高速鉄道構想にリニア技術を売り込みました。
一方、ベトナムのハノイ・ホーチミン間では、日本の新幹線が採用の方針を示しており、ブラジルもリオデジャネイロ・サンパウロ間の構想が動き出します。ブラジルでは、新しい入札条件には「大事故を起こした事業者は応札不可」が新たに盛り込まれ、隣国の新幹線は退場となるでしょう。日本の新幹線は、官民一体でソフトとハード両面で差別化し、付加価値を高め世界の高速鉄道受注を目指します。
●関連記事:「インドEPA発行1ケ月で経済効果!1兆ドルプロジェクトに官民一体でインド進出後押し」[2011.9.22配信]
●関連記事:「日本×インド:EPA協定締結/GDP8,9%のインド:対印輸出たった1%にこれからのビジネスチャンス」[2011.2.21配信]
[2013.3.16]
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