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進まぬ被災企業の二重ローン解消問題は「地元の信用喪失の懸念」が足かせ!

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東日本大震災事業者再生支援機構:1年で相談1,000件、支援決定はわずか121件
東日本大震災により被災した企業を金融支援する「東日本大震災事業者再生支援機構」は、昨年3月3日に発足してから1年が経ちました。支援機構が3月1日に発表した「活動状況報告」によると、今年2月末までの累計相談受付件数は1,015件。累計支援決定数は121件の1割強にとどまり、地区別では宮城58件、岩手48件、福島と青森がともに6件と続きます。相談件数、支援決定数とも予測より少ない状況です。
支援機構では、震災前の既往ローンなどを金融機関から買取るなどし、被災企業の再建を後押ししていますが、これまで被災企業では支援機構を活用することで「信用を失う」などの懸念に相談をためらう企業が多いと言います。支援機構は、地元の自治体などの後押しを背景に二重ローン問題解消への取組みを本格化させます。
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被災企業:支援機構の活用で「危ない企業」のレッテルを懸念
支援機構では、既往ローンの買取りのほか、出資や保証など被災企業の再建へ向けた機能を持っているものの、発足から半年間の支援決定はわずか15件。周知が十分でなかったほかにも、支援を受けようとしたことが地元にわかってしまうと危ない企業とみなされるなどの不安が、相談さえも敬遠させました。
このような状況下、地元の自治体では支援機構の仕組みを被災企業経営者に直接説明。心理的な不安を和らげることで相談件数、支援決定件数が増え始めたようです。地域によりまだまだ支援機構の仕組みが浸透していない地域は多くあり、今後は自治体や商工会議所、公的機関など率先して活用を促す働きが望まれます。

支援機構・池田社長「金融機関が立ち上がらないとならない」
支援機構の池田社長は、3月4日の金融シンポジウムで今月末で期限切れを迎える中小企業金融円滑化法に関連し、企業再生支援機構を改組する「地域経済活性化支援機構が中小企業浮揚非常にいい道具になる」と期待感を示しました。
一方、この「道具」を生かすためには、「企業の財布の中身を知る金融機関が何とかしようと立ち上がらないとならない」ことを指摘。地方銀行など地域金融機関の役割が重要との考えを強調しました。二重ローン問題や円滑化法終了に伴う資金繰り支援など金融機関など、支援機構との連携で被災企業の再建が促されます。

茨城県:1年間で支援機構の活用が初!酒類製造業者を支援、事業再開
茨城県では3月6日、筑波銀行が県内で初めて支援機構を活用し、工場が被災した酒類製造業者を支援することを発表しました。支援機構が2月に酒類製造業者の震災前の既往ローン1億3,100万円を買取り、負担を軽減した上で筑波銀行が新たに1,800万円を融資。主力の日本酒が製造できない状況は解消され、支援を受け製造を再開しました。
企業の信用や心配はあるものの、支援機構の活用は国をあげての被災企業支援です。未曾有の被害にあった企業など、一日も早い相談で復興のスピードが上がることが期待されます。

▼東日本大震災事業者再生支援機構:相談窓口

[2013.3.13]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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