JAバンクの貯金残高90兆円超え!融資先乏しい資金は「攻めの農業」目指すファンドへ出資
貸し出しは減少!今後は農業への新規参入者・6次産業化促進へ出資方針
農林中央金庫は1月30日、JA(農業協同組合)貯金残高(速報値)が昨年12月末時点に前年同月比2%増の90兆8,533億円に達し、初めて90兆円を超えたことを発表。背景には、年金の流入や年末のプロモーションなどの効果で貯金残高が増加したと見られます。
農林中央金庫には、全国のJAなどを通じ資金が集まるものの、貸出しは同比1.9%減の21兆5,686億円と融資先が乏しいのが現状。今後は、農業への新規参入や大規模な6次産業化を目指す農業法人向けなどに出資。資金を貸し出す方針を示しています。
プロモーション効果?貯金残高、6年で10兆円も増加
JAバンクは、JA、信連(信用農業協同組合連合会)、農林中央金庫からなるグループ。国内では、民間で最大級の店舗を持ち「バンク」と名乗るものの、銀行ではなくJA貯金やローン、農業融資などを行っています。
速報によると、貯金残高は前月から1兆962億円増え、前年同月から1兆7,390億円増。平成18年12月に80兆円を超えてから6年で10兆円も増えました。確かにJAバンクのテレビコマーシャルなどは目にする機会も増え、シニア層の年金相談への対応や、新社会人向けのキャンペーンによる給与振り込み口座の獲得、ATM(現金自動預払機)の手数料無料化など、信頼と利便性向上が利用者増に繋がったようです。
今後の施策:農業への新規参入、6次産業化へ出資
農林中央金庫は1月22日、今後のJAバンクの取組みについて施策を発表。大規模個人農業者や農業法人向けに規模拡大へニーズのある「担い手経営体応援ファンド」の創設や、6次産業化を促す商談会やセミナーを開催。技術力がありながら規模・事業拡大に資本が不足する農業法人などのニーズに対応するとしています。
昨年成立した農林漁業成長産業化支援機構法を踏まえ、農林中央金庫による官民ファンドへの出資やサブファンドの立ち上げによる6次産業化の促進に取り組むとしています。
グローバル化へ、1,000億円の投融資枠を創設
農林中央金庫は今年4月、大規模農業法人を支援する初の枠組みとして1,000億円規模の投融資枠を設ける方針を示しました。地域農業の中核となる担い手を育て地域の活性化や国際競争力の向上を目指すため、農地取得や新規事業へ参入する農業法人への出資のほか、低金利融資も行うとしています。
自民党政権では、「攻めの農業」を成長戦略と位置づけ、国が6次産業化による国際競争力向上を進め、金融機関やノウハウをもつ企業に出資を促しています。JAバンクも内向きな日本の農業がグローバル化へ移り変わる一助を担うことになります。第6次産業は農業生産から加工、物流、販売までを一手に引き受ける産業です。生産技術の躍進的進歩で農業生産物の工業製品化の日も近いでしょう。
[2013.2.6]
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