被災地住宅移転、災害復興住宅融資の利用わずか6%!周知不足を露呈、二重ローン解消「個人版私的整理ガイドライン」
住宅金融支援機構:高台整備進めば利用も増加
住宅金融支援機構東北支店は1月16日、東日本大震災の被災者を対象とした災害復興住宅融資の昨年末までの申込み件数(速報値)が東北6県で7,286件だったことを発表。全壊戸数は約12万戸と見られ、わずか6.1%の融資利用は復興が進んでいないことを表します。
東北支店では、高台の整備が進み移転先が決まれば申込みは増えると見ていますが、震災から1年10ケ月経ち土地を確保して自力で再建した被災者はごく一部。周知不足が露呈しました。
地域で偏り、宮城県の利用が全体の7割
県別の申込み件数は、宮城が全体の69.4%占める5,053件。福島が21.7%の1,582件、岩手が8.5%の622件と3県だけでも偏りが見られます。利用目的別では、一戸建て建設資金が全体の76.3%を占める5,561件でした。
融資総額は、578億140万円、入居まで終えた件数はわずか3,644件とスピード感ある対応が望まれます。阪神大震災では、元の場所に自宅を再建する場合が多かったため、同じ1年10ケ月後の災害復興住宅融資の利用は4万2,994戸と圧倒的な違いです。
ガイドラインにより震災前のローンを減免、手元資金も確保
一方、早期の生活再建に向け震災前のローンに新たなローンが加わる二重ローン問題は、「個人版私的整理ガイドライン」により震災前のローンを減免してくれます。金融機関との合意により手元に残せる現預金も500万円のほか、義援金なども認められますが、利用が伸び悩んでいます。
移転地の問題はあるものの、ガイドラインの使い勝手の悪さが指摘されます。さらに地方公共団体など被災地へ人的応援は続くものの。人手不足による周知が充分ではないようです。また「私的整理」と聞いただけでも敬遠する被災者もいるくらい、わかりやすさを向上させる必要がありそうです。
個人版私的整理ガイドライン:成立件数率たった4.8%
平成23年8月に運用が始まった「個人版私的整理ガイドライン」は、昨年12月14日現在、相談件数3,419件に対し既存ローンの整理など成立件数はわずか163件。相談件数自体少ない上、成立件数率4.8%の低さには課題が残ります。
政府は1月11日、今年度補正予算に盛り込む緊急経済対策を閣議決定。「機動的な財政政策」10.3兆円を投入。このうち東日本大震災の復興、防災事業に3.8兆円を投じます。
これからは・・・・
山間部や入り江が壊滅的名被害を受けて、未だに居住できる土地が少ないといえます。仮設住宅で2度目の冬を迎えると、そろそろ諦めムードも広がってきます。生活空間、就労スペース、病院学校など福祉公共施設の並存が望まれます。被災者の住宅確保へ向け、スピード感ある対応策で解消。仮設住宅暮らしから解放する支援策が急がれます。
●関連記事:「知っていますか?国の住宅二重ローン買取りのしくみ!リスケ5,900件に対し買取り相談は1,500件」[2012.10.17配信]
●関連記事:「二重ローン対策!「個人版私的整理ガイドライン」8/22受付開始!ローン残債、買取りは誰か」[2011.8.26配信]
[2013.1.21]
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