市販薬のネット通販規制、最高裁が厚労省に違法判決!利便性と安全性の両立確保で実質解禁
市販薬ネット通販解禁、副作用リスクは自己責任
最高裁判所は1月11日、一般用医薬品(市販薬)のネット販売を巡る裁判で、第1類・2類医薬品をネット通販で規制する厚生労働省の省令を違法とする判決を下しました。市販薬は、胃腸薬などの第1類や風邪薬などの第2類とリスクの高い方から分類され、これまでネット通販ではビタミン剤など第3類のみに限定。副作用リスクの高い第1類・2類は省令で禁じていました。
今回の判決により、訴訟を起こしていたケンコーコムなどは早速、市販薬を掲載。市販薬のネット購入が可能となりました。ただ、判決はネット通販という手法については判断せず、全面解禁を容認してはいません。そのため買い物難民などへ利便性はよくなる一方、副作用など安全性に関する自己責任は大きくなります。
安全性を優先し法改正で規制が一転緩和、安易な省令規制が問題?
これまで市販薬はネット通販などで販売されていましたが、平成21年に改正薬事法が施行し、副作用リスクの低い第3類のみに限定。市販薬はドラッグストアなど対面販売が妥当と安全を最優先とした規制として理解を示す声は強くありました。判決が一転して「省令の違法」となったのは、厚生労働省の安易な省令での規制にしかみえません。
厚生労働省によると市販薬の副作用の報告は、年間約200件を超えており、匿名性の高いネット市場において目的以外の大量購入などマイナス面も否定できません。利便性を優先し安全性が犠牲になることだけは許されません。
ケンコーコムはじめ楽天、ヤフー、続々市販薬市場参入
改正薬事法の施行から約3年半が経ち、再びネットで市販薬の購入が可能となります。この間、スマートフォンなどの急増など市販薬通販市場は巨大化となるはずです。ケンコーコムをはじめ、親会社である楽天に加盟する店舗や、ヤフーは市販薬販売への参入を表明しました。ケンコーコムでは、規制前の年間5億円の売上規模をいち早く回復するとしています。
市販薬がネット通販で購入することができるようになり、大きく影響を受けるのはドラッグストア業界です。家電製品などと同様に販売価格ではネットにはかないません。対面での健康サービスなど付加価値も必要となります。
ケンコーコム安全性確保?副作用情報開示、多頻度同一購入防止、薬剤師対応
市販薬のネット販売を始めたケンコーコムでは購入の際、チェック項目を設け各市販薬の副作用情報など注意事項を閲覧しないと購入できない仕組みになっています。さらに目的以外の購入を防ぐため、各市販薬の購入履歴を蓄え、同じ市販薬を多頻度で購入できないよう制限もかけられます。
同社では、コールセンターに薬剤師を常駐させ電話やメールなど相談にも対応すると万全体制。しかし、参入を急ぐ企業がケンコーコム同様の体制をとれるかも疑問。しばらくは購入も、使用にも自己責任が問われ、販売システムへのルールづくりが急がれます。
[2013.1.16]
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