公取委トップは空席のままヤマダ電機、条件付きでベスト電器の買収を承認!国家行政より政争を露呈
買収により10地域で家電独占販売、地域住民が不利益に
家電量販店大手・ヤマダ電機のベスト電器の子会社化は、今年7月に発表。市場の競争原理を重視する公正取引委員会による審査が長引いていましたがようやく決着がつきました。
公取委では、家電量販店の商圏を10kmと設定し、同業店舗を注視しています。ヤマダ電機の店舗は213店舗。このうち41の地域でベスト電器が注視されており、子会社化されることで市場の競争原理は解消。とくに41店舗中10店舗では、ベスト電器以外に競合店舗がないため販売価格など地域住民が不利益となるとしていました。
ヤマダ、ベスト隣接地域、いづれかを第3者に譲渡で公取委承認
今回、ヤマダ電機は、対象となる10店舗の地域で来年6月30日までにヤマダ電機かベスト電器、いづれかを第三者に譲渡することを公取委に提案。公取委は、これに対し10地域で新たに同業競争店舗が創出されると判断。排除措置命令を行わない旨を通知することとなりました。
テレビの需要先取りで低迷が続く家電量販店では、店舗の顔となっていた薄型テレビ売場がスマートフォンやタブレット型端末に移り変わりを見せています。爆弾低気圧による急激な冷え込み特需で、暖房器具や加湿器など好調さも見せますが、ネット通販には価格面ではかなわずアフターケアなど差別化が求められています。
先送りしない増税、先送りする国家行政人事
公正取引委員会は、下請けいじめなど企業の不正な取引や行為などを監視する市場の番人。国家行政組織法3条に基づいた独立性の高い組織で市場で重要な役割を果たします。その公取委のトップ・委員長は、今年9月26日に前任者が退任後、不在とままになっています。
委員長の選任には、衆参両院の同意が必要で9月にトップ不在となるのがわかりながら通常国会の後の臨時国会でも人事が提示されず、現在も空席のまま。消費増税は先送りしないものの、国家行政人事は先送りとなっています。
公取委の重要性、より高まる独禁法改正による相次ぐ違法取引・行為
公正取引委員会は企業の競争原理を促し、透明な市場をつくることで消費者を守る重要な役割を担っています。そのトップ不在をわかりながら衆院解散など政争が繰り広げられ政府・与党はもちろん、野党からも指摘がないこと自体が異常事態です。
独占禁止法の改正により企業の違法取引・行為など批判が高まるなか、公取委の重要性はより一層増しています。違反した企業へは課徴金が引上げられ、自己申告した企業には課徴金減免など改正による企業への摘発が相次いでいます。公取委トップ不在の中で承認されたベスト電器買収の承認は、企業のトップ不在の中で重要な承認が決済されたようなもので、危機感の足りなさが露呈されました。
●関連記事:「ヤマダ電機:ベスト電器を傘下に!アジア進出強化戦略、脅威はネット通販」[2012.7.19配信]
●関連記事:「家電量販店M&A活発:「ビックカメラ国内で拡大」「ヤマダ電機はスマートハウス」で明暗は?」[2012.5.16配信]
[2012.12.17]
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