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コメ「4年ぶり豊作」で高値傾向/価格適正化阻む全農の「前払い金」上乗せ措置

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コメ作況指数「やや良」 収穫目標より28トン増/4年ぶりの豊作も価格は高止まり
今年も食卓に新米が上る時期が到来。農林水産省によると、平成24年度米の作況指数は10月末の時点で102(平年作=100)の「やや良」。予想収穫量は9,000トン上積みされ、目標数値より約28トン増加。平成20年以来、4年ぶりの豊作見通しです。おいしいコメを安く、たくさん食べられると期待していました。
ところが、流通価格は東日本大震災の影響を受けた昨年度から高値傾向が続いており、立冬を迎えても値段は高止まりしたまま。店頭価格も前年比約1割高で推移しています。
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販売ルート細分化で市場の在庫調整困難に
コメの消費低迷が著しいなかで、新米の時期こそ書き入れ時。「少々お高くても新米は食べたい」という人は多いはずですが、あまりにも家計を圧迫するとなれば、コメ離れに拍車をかけかねません。
コメの値段が下がらない原因として「販売ルートの多様化」が指摘されています。インターネットの普及により、生産者による直接販売なども拡大。販売ルートの細分化により、従来の市場においては在庫調整が効かなくなっているとのこと。
さらに、震災後の集荷が低調であったことを受け、今年は全国農業協同組合連合会(全農)グループが、生産農家への「前払い金」を10~20%ほど上乗せしたことも、価格の押し上げ要因となっています。

全農の「前払い金」上乗せが価格押し上げ
全農は生産者からコメを仕入れる際、米の原価を「前払い金」という形で生産者に支払います。そして一定の期間が経過し、実際に販売したコメの量が分かった時点で、次の「前払い金」から「いくつもの手数料や金利」を差し引いた金額が、全農から生産者に払われる仕組みです。
この前払い金を上乗せにより、コメの値段を吊り上げなければ全農の利益を維持できないということは想像に難くありません。また、市場に流通するコメのうち、全農が取り扱っているのはおよそ6割。過半数を占める全農のコメの価格が基準とされてしまうのも無理からぬ話ではあります。

出回り不足解消の先には値崩れ?TPP参加の前に国内流通の安定を!
しかし、販売ルートが多様化しているいま、余計な手数料や金利を含まないコメの価格こそが適正な基準となるべきです。旧態然とした全農の存在こそが、日本人のコメ離れを助長させてしまうことが考えられます。
当初は出回りが不十分だった新米も、ようやく出荷量が増え、不足感は薄れつつあります。ただし、この先懸念されるのが値崩れ。コメは日本の健康長寿を支える源ともされていますが、流通がなかなか安定しない現状では、TPP参加も時期尚早と感じてしまいます。

[2012.11.29]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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