日本の製造業復活への布石を打つ!「新日鉄住金」誕生/粗鋼生産量は世界第2位
鉄鋼生産世界2位に浮上!「新日鉄住金」誕生
鉄鋼生産において国内最大手の新日本製鉄と同3位の住友金属工業の合併により10月1日、新日鐵住金株式会社(東京都千代田区丸の内2‐6‐1/代表取締役会長兼CEO: 宗岡正二氏、代表取締役社長兼COO:友野 宏氏)が誕生しました。売上高は12年3月期連結決算の単純合算で5兆5,643億円。平成23年の粗鋼生産量は2社合計でおよそ4,610万トン。この合併により、ルクセンブルクのアルセロール・ミタル社(9,720万トン)に次いで世界第2位の生産量を誇る鉄鋼メーカーとなります。
「総合力世界一目指す」宗岡CEO
10月1日に開催された新社名プレートの除幕式の場において、宗岡正二CEO(前新日鉄社長)は挨拶のなかで「あらゆる面でレベルアップした総合力世界ナンバーワンの鉄鋼メーカーとして、国際競争に勝ち残る」と語りました。
同社は今後5~10年の間に生産規模を6,000~7,000万トンに拡大すると目標を立てています。また、規模だけでなく、世界最高水準との呼び声も高い技術力の更なる向上や、コスト競争力の面でも世界のトップを目指すことが期待されます。
焦点はグローバル市場での生き残り・勝ち上がり
自動車や家電製品などを見ても、中国や韓国企業の台頭により、世界市場において製造業の競争は激化の一途。こうしたなかで、今回の大合併は生き残りを懸けた戦略の一つです。
合併審査においても、公正取引委員会がグローバル競争の観点を重視し、以前のような国内市場でなく、世界市場での占有率に着目したことで認可に至りました。
「重厚長大産業」のネクストステージ/新たな時代の幕開け予感
鉄鋼や造船、セメントといった「重厚長大産業」こそ、戦後の日本の高度成長を支えた分野です。日本の近代史を振り返ってみても、鉄は常に重要なカギを握っていました。
幕末、外国船の脅威に対抗するために欧米の技術を導入した製鉄所を建設。1857(安政3)年、岩手県の釜石製鉄所で、日本発の洋式溶鉱炉の出銑に成功したことにより、日本の近代製鉄がスタートしました。
その流れを汲む新日鉄と住金の合併は、新たな時代の幕開けを予感させます。電化製品やコンピューターなど「軽薄短小産業」が持て囃されるに従って鉄鋼業の存在感は薄れつつありますが、「鉄は国家なり」という言葉の重みを改めて感じています。
●関連記事:「新日鉄・住友金属大型M&A/釜石「鉄の街」再生へ!製鉄所操業再開」[2011.4.16配信]
●関連記事:「新日鉄・住金のM&A公取委が障害?:産活法改正で国際競争力強化/シェア奪還」[2011.2.15配信]
[2012.10.16]
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