「環境税」導入でさらに増税加速?!ガソリンスタンド倒産ラッシュの予感
食料品値上げ、保険追納期間拡大...10月から変わる国民の生活
この10月1日から、私たちの生活に関わる様々な制度の改正や新設が行われています。
労働者派遣法の改正により、契約期間30日以内の日雇い派遣は原則禁止。年金確保支援法の施行に伴い、国民年金の未払い保険料を追納できる期間が過去2年から過去10年まで拡大されました。また、穀物相場の高騰、生乳の価格上昇などを受け、小麦粉や食用油、バターやチーズをはじめとした乳製品などの食品の値上げが相次いでいます。
「微増」の弊害懸念/「環境税」導入も小売価格への転嫁困難
温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)の排出抑制を目的として、石油や天然ガスなどの化石燃料に新たに導入されたのが「地球温暖化対策税(環境税)」です。導入当初の今年度は、石油製品1キロリットル当たり250円の課税。小売価格としては、1リットル当たり25銭とわずかに見えますが、これが小売業者の悩みの種となっています。
日本のガソリンスタンドの商習慣では多くの場合、1リットル当たりの価格を消費税込みの整数で表示し、小数点以下は請求されません。元売業者はガソリンを卸す際には税負担を上乗せしますが、小売の段階では今回の0.25円の増税分を価格に転嫁することが困難。結局は、小売業者が増税分を負担せざるを得ません。
ハイペースで増加、ガソリンスタンド倒産/1~8月:前年比11.7%増
東京商工リサーチが9月に発表したレポートによると、今年1月~8月のガソリンスタンドの倒産件数は38件。前年同期比11.7%増と、1割以上の大幅増となりました。最盛期には全国で約6万軒(平成6年度末)あったスタンドの数も、22年度末には約3万9,000軒まで減少。ここ数年は毎年2千軒ずつと、減少ペースが加速しているのです。ここしばらくの全業種の統計では、むしろ倒産が沈静化する傾向にあるのですが、そのなかで「ガソリンスタンドだけが異常な状態」とも言えます。
原油価格変動、競争激化、クルマ離れ...複雑化する倒産要因
少し前は「オイルショック再来」とまでに原油高が騒がれていましたが、世界経済の減速に伴い原油価格も安定。ガソリン価格もようやく下落の傾向にあります。ただし、価格が下がれば下がるほど、値下げ合戦が熾烈になるのが世の常。さらに、消費に消極的な若者の「クルマ離れ」や、自動車自体の低燃費化が進むなど、ガソリンスタンドの経営を圧迫する要因は日増しに複雑化しています。
規制強化で更なる淘汰も
加えて、消防法規則の改正により、設置から40年以上経った老朽タンクの改修が義務づけられました。老朽タンクを利用しているスタンドにとっては、1カ所当たり数百万円のコストが必要。この改修の期限は来年1月までと定められていることから、今年度は廃業に追い込まれる事業者が多数出ると予想されています。過去10年間で最多であった平成20年度と同水準、あるいはそれを上回る規模になる可能性も否めません。
「環境税」+「消費税」段階増税のWパンチ!
環境税の税負担についても、今後平成26年4月に25銭、28年4月に26銭と、3段階で増えることが決定しています。加えて、26年4月に8%、27年10月に10%と予定されている消費税の増税も悩ましいもの。特にふたつの増税が重なる26年4月が、ガソリンスタンド淘汰の大きなポイントであると見られています。
[2012.10.9]
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