9月の日銀短観:景況感3期ぶり悪化、サービスDIはおよそ5年ぶりの高水準!/デフレ脱却のカギは「シニア需要」
9月日銀短観:3期ぶり悪化/機械・鉄鋼も悪化幅2ケタ
日本銀行は10月1日、9月の企業短期経済観測調査(短観)を発表しました。これによると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業がマイナス3で、6月の前回調査から2ポイント低下し、3四半期ぶりの悪化となりました。
業種別の業況判断DIでは、全28業種中、12業種が悪化。製造業では自動車が前回よりも13ポイント低いプラス19と大幅に悪化しています。また、生産用機械や鉄鋼も2ケタの悪化幅になるなど、輸出企業の悪化が目立ちます。
震災背景に改善続く建設・不動産/宿泊・飲食はおよそ5年ぶりの高水準
一方、非製造業は東日本大震災の復興需要を背景に、建設が7四半期連続で改善したほか、不動産なども改善。さらに、大企業・宿泊・飲食サービスのDIは前回6月調査に比べ3ポイント上昇のプラス6と、2期連続で改善しています。この数字は平成19年12月以来の高水準とのことです。
リーマンショック前の水準まで回復しているという結果は喜ばしいものですが、今回の調査について、回答基準日は9月11日ということで、尖閣諸島の国有化を巡って9月中旬から激しくなった中国の反日デモの影響はあまり反映されていないと見られます。ここ数週間で中国からの旅行のキャンセルなどが相次いでおり、景気回復に歯止めをかけることが懸念されます。
需要「年間6兆円」の試算も!高齢者のニーズ開拓でデフレ脱却
そんななか、60代以降のシニア層が求める商品やサービスを企業が開拓することがデフレ脱却の糸口になるとして、企業も専門のサービスを投入し始めています。
日本の人口の4分の1は65歳以上と、高齢化が叫ばれて久しいものですが、個人消費額の年齢別割合を見ると、「65歳以上」の比率は年を追うごとに増加し、最新の調査ではおよそ30%を占めるまでに。「60~64歳」も合わせると、約50%にも上ります。対して、これまで消費の主役とされてきた若者や40~50代の消費は落ち込んでおり、逆転も間近。高齢者向けの市場は潜在需要が大きく、三菱総合研究所の調査によると「1年間に6兆円超」との試算も出ています。これを開拓することで国内の消費を盛り上げようという狙いです。
流通業界全体で「シニア対応」加速
百貨店などの高級品消費に限らず、流通業界の様々な分野で、シニア世代の需要を取り込むための対応が加速しています。
イオン株式会社(千葉県千葉市美浜区中瀬1‐5-1/取締役兼代表執行役社長、グループCEO:岡田元也氏)は今年6月から、活動時間の早いシニア層の生活リズムに合わせ、スーパー等全国1,400店舗で営業開始を午前7時からに繰り上げています。夏期の節電も兼ねていたため、当初は9月までの予定でしたが、好評を受け、通年実施が決定しました。外食大手のワタミフードサービス株式会社(東京都大田区羽田1‐1‐3/代表取締役社長:桑原豊氏)は、「シニア向け居酒屋」として「炭旬」を展開。客単価は同社の他店舗より高めの設定であるものの、品質の良さを打ち出し、認知度を高めています。
企業の知恵でシニア層の財布と時間をどれだけ獲得できるかは、今後の大きな課題。また、この試みが国内で成功すれば、海外進出への足がかりとなることも間違いありません。
[2012.10.8]
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