原発ゼロでCO2削減に環境税導入!?原発事故で状況は一変、国際公約は置き去りのまま
当面、消費者への負担はないもののいづれ増税
地球温暖化対策を促すために、石油や石炭などに新たに課税される地球温暖化対策税(環境税)が10月1日から導入されました。生活で身近なガソリンでは、1リットル当たり0.25円の負担増と利用者からは悲痛の声が上がる一方、地球温暖化対策のためには仕方ないとの意見もみられます。
全国石油商業組合連合会によると多くのガソリンスタンドでは、価格表示が1円単位のため、便乗値上げと批判されぬよう課税分の反映は当面見合わせるとしています。課税分は当面、石油元売りや電力会社、ガス会社で負担し、各々の判断で価格転嫁していく方針です。
国際公約、CO2を25%削減に企業間排出枠取引制は棚上げ
環境税はCO2(二酸化炭素)を排出する化石燃料に課税。平成26年と28年の4月に2段階で引上げられ、最終的には約3倍課せられることとなり電力やガス、石油からつくられるプラスチック製品などいづれ消費者に影響は広がります。
CO2など温室効果ガスの排出量削減は民主党の政策でもあり、鳩山元首相は国連で平成2年比の排出量を32年までに25%削減する国際公約を示しました。このための施策「再生可能エネルギーの買取り」は今年7月に始まり、「環境税」が10月導入されたものの、「企業間排出枠の取引」は棚上げ状態のままです。
原発事故前の法案、見直しなしで成立
環境税の段階的な引き上げ案は、既に昨年の震災以前に内容が決まっており、原発事故の影響で国内の原発全てが停止し、天然ガスなどの化石燃料の輸入が大幅に増加するなど状況は一変。さらに野田首相は、平成42年以降原発ゼロの方針を示し、CO2を25%削減する目標は現実的に不可能に近いものとなりました。
環境税は、一昨年の税制改正で決定し、法案は昨年の震災の影響で一時棚上げとなったものの、今年3月には状況が変わったにもかかわらず見直しなく成立しました。
原発ゼロと温暖化防止の同時進行、どう進むか
CO2削減と自然エネルギーの普及のため、電気料金は買取り価格が既に上乗せされ、原発が停止するなか化石燃料の輸入増加で、いづれ環境税の負担も消費者にのしかかります。具体的な道筋が示されないまま原発ゼロと温暖化防止の同時進行に無理が生じています。
今年も歴史的な猛暑や、多大な被害を出した台風、ゲリラ豪雨など自然災害と異常気象が続きます。北極海の氷は30年前の半分になるなどCO2削減は深刻化。化石燃料に依存しない自然エネルギーをいかに活用するか議論することは多く残ります。
[2012.10.5]
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