金融機関、個人向け無担保融資に軸足!貸金業法改正に伴う再編急いだ消費者金融は混乱
消費者金融業者数:10年で1/10に激減
平成22年6月に改正貸金業法は完全施行され、上限金利は引き下げられ、貸出額の上限も年収の1/3までとする総量規制が定められました。改正の背景には、消費者保護や多重債務者問題の解決がありましたが、一方でソフトヤミ金やカード現金化などの新たな問題も起こりました。
個人向け無担保融資では、改正貸金業法が適用外の金融機関では、傘下に大手消費者金融を収め、収益・貸出先激減、八方塞がりの消費者金融は街から消えていきました。金融庁によると、消費者金融業者の数は、10年前の27,551社から今年2,350社と1/10以下に激減しました。
企業融資伸び悩む金融機関、看板を借りて新規獲得できる消費者金融両社にメリット
メガバンクでは改正貸金業法を受け、三菱東京UFJはアコムを、三井住友はプロミスを傘下に消費者金融から借入れできなくなった受け皿となりうる提携を進めました。金融機関の扱う個人向け無担保融資のカードローンやビジネスローンなどは、改正貸金業法の適用外。景気低迷で中小企業の貸出先が伸び悩む金融機関と、金融機関の看板を借り新規顧客獲得を狙える消費者金融両社にメリットがあります。
金融機関本体が個人向けの無担保融資に軸足をおき、改正貸金業法の規制対象から外れる消費者金融事業を拡大させ競争力を高める動きが見られます。街に出れば銀行系の消費者金融の看板は至る所で目立ち、テレビコマーシャルや電車の車内広告、ネットのバナー広告と資金需要の高さを裏付けます。
銀行の無担保個人向け融資:消費者金融並みの対応になる?
これまで金融機関の個人向け無担保融資は、住宅ローンや教育ローン、目的別ローンなど借入れの際の敷居は低くありませんが、借入れの限度額は高く、利率も低いのが特徴。信頼できる利用者には、低金利で貸出すのが金融機関のスタンスです。
一方、消費者金融は、金融機関ほど審査は厳しくなく即日貸出しなどスピーディな対応が特徴ですが、借入れ限度額は低く金利も高くなります。消費者金融の扉を開くのに抵抗のあった資金需要者は今後、金融機関で円滑な対応をするのか注視されます。
消費者金融クラヴィス破綻、貸金業法による再編急ぐ消費者金融は混乱気味
今年7月には、プロミスの子会社である消費者金融のクラヴィスが自己破産を申請し経営破綻しました。過払い金請求額は判明しているだけでも約2,378億円。返済に充てる原資はなく、管財人は親会社のプロミスを相手取る訴訟を示唆しています。プロミスの親会社である三井住友の対応も注目されます。
改正貸金業法の完全施行は貸し手、借り手に悪影響を起こし、さらには対応を急ぐ消費者金融は統合、再編、提携を急ぎ、社名の変更や債権の譲渡を繰り返し混乱を引き起こしました。金融庁は街から消費者金融の姿を消し、代役を金融機関に任せたかっただけなのか疑問も残ります。
●関連記事:「消費者金融:改正貸金業法逃れ!銀行窓口に総量規制外で新顧客獲得、利用者のメリットは?」[2012.4.3配信]
[2012.9.24]
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