中小向け無担保・無保証融資の振興銀解散!メガ銀行は無担保融資に軸足
ペイオフで保護されない弁済率は39%
平成22年9月に経営破綻した日本振興銀行は9月10日、解散したことを発表。預金保険機構による管理も終了し、商号を「日本振興清算」に変更し、ペイオフで保護されない預金1,000万円を超える部分の弁済にあたります。保護されなかった部分の弁済率は現在39%に止まっており、整理回収機構では不良債権など一部の資産の回収を進め追加弁済を目指します。
同行の木村剛元会長は銀行法違反で有罪が確定。旧経営陣に対する損害賠償請求訴訟は現在でも継続しています。
債権二重譲渡、証拠隠蔽が破綻の引き金に
日本振興銀行は、平成16年に中小企業向け融資を主力事業に設立。景気低迷や低金利競争、さらには債権二重譲渡問題や捜査妨害など経営難となり破綻。負債総額6,000億円を抱え民事再生法の適用を申請しました。ペイオフが発動された初のケースとなり、1,000万円を超える預金者が弁済を受けられない事態に陥りました。
中小から商工ローン大手へ融資の方針転化
日本振興銀行の設立は、当時の竹中元金融相が早期の不良債権処理を促したことをうけ、都市銀行が中小企業向け融資のうち不良債権と想定される融資の回収を実施。結果、貸し渋り、貸し剥がし問題が発生しました。
同行は、中小企業向け融資の専門行として新銀行東京などとともに無担保・無保証融資で他行と差別化を図りました。当初設立3年間は堅実な融資方針で融資額は300億円程にとどまりましたが、平成19年頃より商工ローン大手への融資に舵を切り、22年3月末には4,200億円の残高になりました。
メガバンク:貸金業法の規制はずれる無担保融資に軸足
商工ローン各社は、改正貸金業法により過払い利息の返済など資金繰りが悪化。日本振興銀行からの資金調達で経営は維持していたものの、平成21年2月には破綻した商工ローン大手SFCGに対する融資が上限金利を上回る違法金利で罪を犯します。さらにはこの事実を隠すようにメールを削除した事実も発覚しました。
日本の経済が低迷し続けるなか、金融機関による中小企業向けの無担保・無保証の資金調達が姿を消しました。金融機関では、消費者金融を軸に再編が始まっています。メガバンクでも傘下の消費者金融と連携し、改正貸金業法の規制から外れる本体に無担保融資を取り込み、立て直しを図る動きも見えてきました。
●関連記事:「日本振興銀行:破綻は中小零細企業に暗雲」[2010.9.29配信]
[2012.9.21]
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