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転んでもただでは起きない?!倒産企業の解雇従業員に「指名」殺到!

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リーマン・ショックの余波が続く/山口県の中堅メーカー:66年の歴史に幕
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平成22年のリーマン・ショックに端を発した世界的な不況による倒産は、日本国内でも未だに後を絶ちません。
山口県でもこのほど、昭和21年から地場産業の振興を支えてきた株式会社大畠製作所(山口県柳井市柳井1611-1/代表取締役社長:萬谷英俊氏)がその66年の歴史に幕を下ろしました。機械部品から半導体製造装置に事業を拡大し、平成21年1月期には売上高が約38億円にも上りましたが、リーマン・ショックを機に需要が落ち込み、経営が悪化。今年6月、山口地裁岩国支部に民事再生法の適用を申請し、再建を目指したものの、今月5日に再生手続きの廃止決定を受け、破産手続きに入ることがわかりました。

解雇された従業員を「指名」?!ハローワークへ企業からの申し入れ相次ぐ
同社は再生手続き廃止決定を受ける直前の8月31日付で、全従業員89人を解雇しています。これだけ見ると、他の数多ある企業倒産と何ら変わりは無いように思われます。
ところがこの大畠製作所のケースではひとつ、異例な点が。従業員を解雇したと報道されるやいなや、地元のハローワークには同社の元従業員を指定して「雇用したい」という申し入れが相次いでいるというのです。
企業がハローワークを通して人材を募集する際、求人条件を特定の企業出身者などに限定する「指名求人」も可能ですが、報道によると、大畠製作所出身者へ寄せられた「指名」は5日までに19社にも上っています。その全てが山口、広島両県の機械メーカーで、大畠製作所の取引会社や関係職種の企業が多い様子。採用人数を見ると、各社2~十数人と、複数名を雇用する意向を示しています。

やはり物言う「手に職」/企業にとってはまたとない人材獲得の好機!
この地区のハローワーク管内では、有効求人倍率は0.57倍で、県内でも最低とのこと。地域的なことを鑑みても、1つの企業の出身者に限定した指名求人がこれほど集中するのは極めて珍しいことと思われます。
これには、同社の元社員の多くが、溶接や危険物取り扱いなどの資格を1人当たり3~十数種取得しているなど、優れた技術者が多いことが理由として挙げられています。通常であれば、これほどの技術者は労働市場に出難いものですが、地域の中堅企業の倒産による大量離職とあって、求人が集まりました。今月中旬には、求人情報をまとめ、再就職希望者に提供される見通しです。

倒産して改めてわかる「企業の価値」
日本のものづくりと地方の産業を支える中堅メーカーの倒産という悩ましい背景を負ってはいるものの、この一連の報道は、雇用情勢の悪化が叫ばれているなかで「日本もまだまだ捨てたものじゃない」と思わせてくれました。もちろん、これまで大畠製作所が地域や取引先のみならず、自社の従業員に対しても誠実な事業を続けてきた結果とも言えるでしょう。
以前、某企業の社長が大学の企業説明会に招かれた際に「うちは○○を扱う会社だけど、もしうちの会社がなくなっても、社員がすぐに働くことが出来るような会社創りを目指しています。目指すのは人材会社ではなく人財会社です。」と語っていたのを思い出しました。社会情勢の変化で産業が生まれたり、廃れたりするなかにあっては、企業の栄枯盛衰はこの世の常です。働く人のキャリアアップのできる会社は実が残るものです。これこそ武士の本懐「名を捨てて、実を残す」でしょう。このように有りたいものです。
[2012.9.13]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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