ゆうちょ銀行:住宅ローン事業へ参入申請の脅威!暗黙の「政府保証融資?」に民間は逼迫
平成25年度参入で迫られる民間の対抗戦略
日本郵政グループのゆうちょ銀行は9月3日、個人向け住宅ローン事業への参入やかんぽ生命の学資保険の見直しなどを総務省、金融庁へ認可申請しました。認可の判断は、実質政府に委ねられ郵政民営化委員会は参入を認める見通しです。ゆうちょ銀行とかんぽ生命は平成25年度にも新たな業務に乗り出します。
消費税引上げ法案の成立で高まる住宅取得へのニーズや、市場が急成長するがん保険など日本郵政グループの脅威に民間の金融機関、保険会社は新たな戦略の見直しに迫られます。
崩れた小泉郵政改革:ゆうちょ銀・かんぽ生命株の売却を努力規定に修正
日本郵政グループの民営化を見直す郵政民営化法改正案は今年4月、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の金融2社の株式を平成29年9月末まで売却し完全民営化するとした方針を転換。売却は努力規定に修正され、株式の処分期間も撤廃されました。
政府は金融2社の株式を1/3以上保有し影響力を持ち続けるなど、小泉元首相の掲げた郵政改革は覆されました。ゆうちょ銀行は、政府が株式を持つ金融機関として暗黙の保証が顧客獲得に有利に働くなど民間金融機関にとっては脅威となります。
中小金融機関への影響懸念:初年度住宅ローン取扱いは数百億円を計画
ゆうちょ銀行の貯金残高は、平成23年度末時点で約175兆円に上り、メガバンク最大手の三菱UFJフィナンシャルグループの約124兆円を大きく上回ります。ゆうちょ銀行は、資産運用の約7割を国債で占める状況を改め、収益減の多様化で個人向け住宅ローン事業への参入を目指すとしています。安定した収益が見込める個人向け融資に参入し、金利の変動リスクを抑える考えです。
ゆうちょ銀行の初年度の住宅ローン取扱高は数百億円になる見込みですが、この時点で地方の中小金融機関の貸出規模を上回るなど新事業参入の民間への影響は多大です。
個人向けローン、目的別ローン、企業向け融資も取扱い申請
国内最大の貯金残高と全国に約2万4,000ある郵便局網は、利用者にとっては信用力も利便性も高く、市場の競争原理でさらなるサービスに期待が持てます。郵政民営化法改正案では金融2社のほか、郵便物を扱う郵便事業会社と窓口業務を担う郵便局会社は統合され「日本郵便」とし、グループ5社は4社に再編されます。
ゆうちょ銀行は住宅ローン事業参入のほか、個人向け担保ローンや教育、自動車購入などの目的別ローン、企業向け融資を自ら手がけると申請。金融市場にも変革が起きています。
[2012.9.7]
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