郵政民営化が過疎化に拍車をかける?/「効率化と維持の両立」来年度には隔日営業も
過疎地の郵便局隔日営業を検討:日本郵政
8月26日の読売新聞で、日本郵政グループ(日本郵政株式会社/取締役兼代表執行役社長:齋藤次郎氏)が、山間部など利用者の少ない郵便局で、窓口業務を隔日で行うなど営業の日数や時間を短縮する検討を始めたことが報じられました。早ければ平成25年度中にも始めたい考えとのことです。
郵政民営化法改正により「全国一律サービス」義務付け/深刻化する赤字局経営
全国には現在約2万4,000軒の郵便局が配置されていますが、過疎地では赤字の局も多く、経営維持が困難となってきています。
日本郵政は今年4月に成立した改正郵政民営化法により、全国どこでも郵便、貯金、保険の基本サービスを一体的に提供する「全国一律サービス」を義務づけられました。
全ての国民に等しく利益供与するのが国の務めであるはずですが、「小泉改革」による郵政民営化から6年。行政サービスではなく民営企業であれば、利益を出すことが絶対条件となるので、このように採算がとりにくい過疎地の郵便局は整理したいという考えはあることでしょう。
「効率化と維持の両立」の実態は「地方切捨て」
それでも、地方では「地域の拠点」としての役割を担っている郵便局も多く、公的な観点からは赤字でも閉鎖は難しいもの。そこで「営業日を減らす」という案が出た模様です。
具体的な方策としては、郵便局を10~20局程度のグループ単位で運営し、従業員が複数の局を担当することで経営を効率化する考え。従来は1局ごとに配置していた従業員に複数局を担当させるとのこと。
日本郵政はこの計画の実施により、利用者の少ない局は営業日や営業時間を減らさざるを得ない面はあるものの、人件費を削減することで「効率化と維持の両立」を目指すとしています。しかし、これはどう見ても「地方切り捨て」としか思えません。これを行って、果たして本当に「全国一律」サービスと言えるのでしょうか。
「大量雇い止め」に続く大型リストラ/「サービス向上」謳った民営化の弊害
郵政民営化が推し進められていた当時「民営化が実現すればサービス向上」と盛んに謳われていました。日曜もATM手数料が無料になったり、各種ギフト商品扱の扱いが増えたりと、その努力を感じられる面も勿論有ります。
しかし日本郵政グループでは昨年、日本郵便が非正規社員の大量「雇い止め」を実施。それに続く大型リストラとして、今回の過疎地隔日営業が実施されれば、「何のための民営化だ」と叫ばずには居られません。
[2012.9.1]
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