金融円滑化法利用した倒産最多!供給求める企業、指導したがる金融機関、認識のズレ大
中小、金融機関:安定した資金供給で一致、貸出条件では大きな隔たり
東京商工会議所は8月27日、「中小企業金融に関するアンケート」を公表。回答した会員中小企業は497社、金融機関159店舗。調査は、中小企業、金融機関双方の実態の把握や課題の洗い出し、中小企業金融円滑化法終了に伴う影響などを把握するため実施されました。
金融機関に求める取組みについて中小企業の83.7%、金融機関の95.0%が「安定した資金供給」と、金融機関の本来的な役割と両者の認識は一致。しかし、その条件として中小企業は「金利の優遇」「担保の柔軟な対応」が各々82.2%、45.2%である一方、金融機関では8.2%、12.6%と大きく認識に大きな隔たりがあります。
中小:経営指導よりも柔軟な資金供給
さらに「経営指導」「情報提供」を求めていると考える金融機関は、83.6%、78.6%であるのに対して、中小企業は10.3%、20.2%とこちらも大きな認識の差。中小企業は金融機関に対して経営指導よりも、柔軟な資金供給を求めていることが浮き彫りになりました。
金融庁の地域密着型金融に関する指導について金融機関は、「ある程度対応可能」「充分に対応可能」が81.1%、11.3%と、ほとんどの金融機関で体制を整備。一方、「時間・人的余裕がない」「担当者の専門知識不足」「企業の理解不足」などの意見もあり経営改善への課題も残ります。
進まぬ経営改善計画、リスケ後の倒産件数は増加
経営改善計画の提出状況については、金融機関の51.6%が「2割未満」と回答。経営アドバイスを求めない中小企業の回答からも経営改善計画の策定指導など充分に行えていない実態が伺えます。
帝国データバンクによると、7月の「金融円滑化法利用後倒産」は41件と月次では過去最多。平成21年12月からの累計では403件と増加しています。同法によるリスケジュール(条件変更)の期間中に、業績を回復させ、経営を安定させなければなりませんが、経営改善計画の策定が進まずに計画を下回って推移する企業が多いのが実態です。再度のリスケジュールに応じてもらえなくなれば同法の期限切れを待たずに窮地に追いこまれる可能性も高まります。
円滑化法効果、金融庁へ貸し渋り、剥がしクレーム7件は過去最低
中小企業金融円滑化法は、リーマン・ショック後、政策的対応が必要な局面として金融庁主導で整備され、貸し渋り、貸し剥がし対策効果を示してきました。今年第1四半期(4月〜6月)の金融庁への企業からのクレームは7件にとどまり、平成14年に相談を受け付けて以来、過去最低と効果を示しています。
東京商工会議所の調査では、格付けの引下げが必要になった企業への金融期間の対応として「変わらず対応」「経営支援の強化」が92.4%、83.5%と高い推移で支援。同法終了後、大きな混乱はないと考えられますが、経営改善への対応を急がなければならないことに変わりはありません。
[2012.8.31]
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