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整備新幹線、事業費3兆4000億円相次ぐ起工式/経済効果試算、札幌600億、北陸960億、長崎130億と強気

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国交省:消費増税法案騒動の水面下でちゃっかり認可
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国土交通省は、6月29日に整備新幹線の未着工3区間を正式に認可し今月、現地では相次いで起工式が行われました。8月18日には長崎市で九州新幹線の長崎・諫早間の起工式。翌19日には、福井市で北陸新幹線の金沢・敦賀間の起工式が行われました。さらに北海道新幹線の新函館・札幌間の起工式も25日に行われる予定です。
新幹線の新区間の認可は4年ぶりで民主党政権では初となり3区間の総事業費は約3兆400億円に上ります。消費増税法案成立の水面下で、いつの間にか認可されてしまった感が残ります。
▼鉄道建設・運輸施設整備支援機構:全国新幹線鉄道網

着工へ3兆円の財源を確保、でも消費税は引き上げ?
羽田国土交通相は、認可に関し地域の観光や産業に大きな影響をもたらすほか、災害リスクへの備えとなると意義を説明。民主党は、3年前には公共事業の見直しで「コンクリートから人へ」をマニフェストに3区間の着工を凍結。国土交通省では3兆円を超える財源確保に目処がたったため正式に着工を認可としていますが、消費増税法案の成立を果たしたこのタイミングに起工式とはとの疑問視する声も上がります。
国土交通省の試算では、3区間の開業により収支採算性は年間20~100億円の黒字と両端に多いな開きもありますが、有識者による交通政策審議会の今年4月の報告書では「妥当」と評価されています。

新幹線の経済効果:東北地方で波及
今年8月9日~19日までのお盆期間のJR6社の輸送実績を見ると、新幹線と主要47区間の在来線で前年同期間から5%増の1,327万1,000人と3年連続前年実績を上回りました。特に東北新幹線は9%増、秋田新幹線10%増、山形新幹線7%増と好調。8月11日の東北新幹線の下りでは利用客は16万6,200人と過去最高を記録しました。
東北地方の新幹線は、復興に伴う観光需要の後押しはあったものの、八戸から新青森などの延伸などの開通効果もあり、利便性が地域を活気づけることができました。

地元経済界は新幹線延伸の波及効果に強気の数字
整備新幹線着工で沸き立つ地域もあれば、在来線の廃止など影響を受ける地域があるのは、過去の整備新幹線整備の過程にもありました。地元経済界が試算する経済効果は大きく、札幌市では函館からの延伸でなんと年間600億円の波及効果を見込みます。北陸経済連合会は、年間960億円!。長崎県も年間130億円の波及効果と根拠のわからない強気な数字が並びます。
約3兆円をかけて整備が始まる公共事業は、もはや政権が民主党か自民党なのか、はたまた別な第3局なのかわからない状況です。公共工事は整備するだけに終わらず、着工前試算の事業収支を確実に現実にする大任も課されることも忘れてはなりません。

[2012.8.23]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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