中国レアアース輸出規制、日米欧WTOへ撤回の提訴!中国、環境保護の実態は汚染放置
WTO、解決に向け紛争処理小委員会を設置
WTO(World Trade Organization:世界貿易機構)は7月23日、日米欧が中国によるレアアース(希土類)の輸出制限措置の撤回を求め同機構に提訴したのを受け、紛争処理小委員会を設置。第1回目の会合が行われ、紛争の行方は同委員会に委ねられました。
輸出制限の対象となるのは、HV(ハイブリッド車)やスマートフォンなどハイテク製品に使われるレアアースのほか、タングステンやモリブデンの3品で世界産出量の9割以上を中国が握っています。
レアメタル輸出制限では、米欧相手に中国敗訴
日米欧は23日、WTOの会合で中国がレアアースに輸出税を課したり、輸出枠を設けたことがWTO協定に違反と主張。一方、中国は産出による環境保護が目的としており、WTOの小委員会設置は残念とコメントしています。
中国は今年1月、レアメタル(希少金属)などの輸出制限で、米欧からWTOに提訴されていましたが、最終審に当る上級委員会で協定違反と判断され敗訴が確定。今回のレアアース輸出規制問題と構図が似ているだけに日米欧勝訴の可能性が高まります。
中国大規模レアアース鉱山近隣、汚染による破壊的な損失
レアアースは中国以外にもベトナムやカザフスタン、豪州、米国など世界各国に埋蔵されています。中国一国に頼るのは、中国の鉱山は地表にレアアースが露出しており採掘が簡単で、しかも人件費も安く働き手も大量に存在するため低コストで採掘できるためです。しかし、採掘時に必要な放射線対策などは行われていないようで主張する環境保護の実態とはかけ離れています。
仏ル・モンド紙は7月20日、内モンゴル包頭市の大規模レアアース産出は地域の環境を汚染。近隣住民を害し、水や家畜、土壌はすでに挽回できないほど破壊的な損失をもたらしたと報じました。
中国環境保護の意識:汚染処理せずこれ以上広げない?
レアアース汚染問題では、新唐人テレビが平成22年、包頭市の近隣住民に対し取材を行っており、排水汚染に加えレアアース選鉱くず湖汚染によってがん患者が急増していることを報じました。レアアース産出後の排水には多くの有害物質や放射性物質が含まれており、放置されたままとなっていました。
中国が主張する環境保護は、これ以上汚染を広げないが主となり、根本的に環境汚染を広げないといった先進国との意識の違いが見られます。中国の戦略的な力を誇示する商品としてのレアアースではなく、世界の製造業に寄与するレアアースであってもらいたいものです。
●関連記事:中国レアアース価格操作:日本・米国・EU諸国がWTOに提訴、中国はレアアース協会設立で対抗!日本は代替え技術で対応[2012.4.16配信]
[2012.8.6]
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