夢のパンダフィーバー:赤ちゃん死亡で白紙に消えた「経済効果100億円」/「パンダ関連」銘柄も急変動
パンダの赤ちゃん「24年ぶり誕生」に沸くも急死
東京・上野動物園では今月、24年ぶりにジャイアントパンダの赤ちゃんが誕生したことで沸きましたが、誕生から6日後の11日、肺炎で急死したことで、また大きな波紋が広がっています。
園長が都庁で記者会見を行うというのはいささかやり過ぎではないかとも感じましたが、パンダの赤ちゃん誕生により「経済効果は100億円」とも試算されていたことを鑑みると、「非常に残念でならない」という土井園長のコメントを、別の意味で重く受け止める人も多いことでしょう。
白紙に消えた「経済効果100億円」
昭和47年に初めてパンダが来日し、その集客力と経済効果の大きさから「人寄せパンダ」という言葉まで生まれました。昨年2月に現在の「リーリー」「シンシン」が上野動物園に来園、4月1日にお披露目されたことにより、昨年度の年間入場者数は19年ぶりに400万人を超えるなど、40年経ってもその威力は絶大です。
今回の赤ちゃん誕生も、入園料や園内外での飲食・物販はもちろん、観光客の交通や宿泊、周辺での購買消費などを試算すると、その経済効果は「100億円」とも「300億円」とも語られましたが、全て白紙に。上野動物園や周辺施設のみならず、パンダ関連グッズを扱う企業にとっても大打撃であることは間違いありません。
株式市場も敏感に反応 「パンダ関連」急変動
またその影響は、株式市場にも及んでいます。11日の株式市場では、赤ちゃん誕生後に急騰していた"パンダ関連銘柄"が大幅に値を下げました。
上野動物園のそばに本店を置く株式会社東天紅(東証1部/東京都台東区池之端1‐4‐33/代表取締役社長:小泉和久氏)と株式会社精養軒(ジャスダック/東京都台東区上野公園4‐58/取締役社長:酒井裕氏)は、赤ちゃん誕生後、株価が大きく値上がり。10日には一時、東天紅が233円、精養軒が636円まで上昇し、いずれも今年の最高値を更新していました。ところが、死亡報道後11日の終値は東天紅が153円、精養軒が407円で、前日終値に比べ10%以上も値を下げています。
熱狂ぶりに違和感?パンダは上野専売ではない
上野動物園では「24年ぶりの出産」に束の間熱狂しましたが、国内には和歌山県西牟婁郡白浜町のアドベンチャーワールドや兵庫県の神戸市立王子動物園にもパンダがいます。調べてみると、アドベンチャーワールドでのパンダの赤ちゃん誕生はこれまで12回。自然出産もそのうち 4回とのこと。地元の方にとっては、上野のパンダ出産がこれほどまでに大きく取り上げられることが不自然に感じられたかも知れません。
尖閣諸島問題とパンだの赤ちゃん
折しも、尖閣諸島問題で、日中関係がギクシャクしている中での報道でした。石原都知事は「センセン」「カクカク」と命名・・・・などと発言していましたが、赤ちゃん誕生はいい友好ムードの下地でした。経済効果も去ることながら、友好ムードも下火です。パンダ外交に変わる外交ツールは無いものでしょうか?
[2012.7.25]
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