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ルネサス事業再生計画発表!「事業集約、工場再編、人的合理化」に地域経済への影響が課題

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マイコンとエコに事業を集中、成長市場への展開強化
経営合理化計画を進める半導体大手のルネサスエレクトロニクスは7月3日、「目指す事業構造に向けて~強靭な収益構造の構築」を発表。自動車・スマート社会分野や海外市場へ事業を集中し、生産構造の見直しや人的合理化などの対策により強靭な収益構造を構築すると発表しました。
自動車向けのマイコンでは世界シェア第1位を堅持しつつ、エコシステム構築による市場の創出、成長市場への展開を強化するとしています。さらに収益構造対策として生産体制の効率化を推進し、国内生産拠点の再編が行われます。

五千数百名の早期退職を想定、上限は決めず
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ルネサスグループの生産拠点は18あり、このうち8工場では事業計画に従って譲渡や集約を検討するとしています。既に津軽工場は7月1日付けで富士電機へ譲渡されています。
ルネサスは、生産縮小に伴い早期退職優遇を実施し、年間約430億円の費用削減を実現。5千数百名の応募を想定していますが上限は特に定めていないため、今後もさらなる費用削減効果を見込むとしています。国内工場縮小で空洞化、雇用問題と日本の製造業の流れを象徴しました。

拠点の自治体:「地域経済に影響大」工場存続要望
今年2月には、半導体大手エルピーダメモリが経営破綻。日本の半導体技術は世界を圧倒していたものの、わずか十数年で新興国メーカーに追いつかれ、円高による価格競争に巻き込まれ失速しました。半導体などの先端技術は、日進月歩でありスピードも早く、急追する新興国メーカーの技術向上のスピードも早くなってきました。
工場のある熊本や山口県では、ルネサス役員が自治体へ今後の方針を説明するものの、閉鎖となれば地域経済や雇用に大きな影響が出るだけに工場存続を強く求めています。

「工場誘致で地域経済安泰」にはならない現状
ルネサスの事業計画の発表は、現時点での情報を元に策定され、潜在的なリスクや不確実性が含まれるとしています。背景として日本国内やアジア、米国、さらに欧州の経済情勢に加え、同社商品のニーズの動向、新興国メーカーとの価格競争、為替レートなどが大きく影響するためとしています。この先、どう転んでもおかしくない時代です。
ルネサスの事業縮小は取引先への影響のみならず、工場など閉鎖となれば雇用問題など地域経済にも大きな影響を与えます。先端技術の工場誘致で地域安泰の時代は終わったのか課題を残します。

[2012.7.11]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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