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日本酒蔵元10年間で74件倒産/国内:根強い日本酒離れ、ワインを見習:海外ファン開拓

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日本酒メーカー:10年間で倒産74件/7割超が「業暦100年以上」の老舗倒産
東京商工リサーチが5月30日に公表したレポートによると、国内の日本酒メーカーの倒産は、平成14年から23年の10年間で74社発生。そのうち7割以上を業歴100年超の企業が占めており、老舗の倒産が目立つのも業界の特色。創業年が判明した71社では、最多が「100年以上150年未満」で30社(構成比42.2%)。次いで、「50年以上100年未満」16社(同22.5%)、「150年以上200年未満」9社(同12.6%)と続き、業歴300年以上が2社、200年以上~300年未満も11社を数えています。
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主な倒産原因は「販売不振」/業界の半数以上「10年間で3割以上売上減」
倒産74件のなかで売上高が判明した51社のうち、10年間で売上高が30%以上落ち込んだメーカーは36社(構成比70.5%)。業界全体で見ても、メーカー695社中1/4以上を占める187社が売上高の「30%~50%未満減」、「50%減~」も154社と2割を超えており、半数以上が3割以上の減収に苦しんでいる現状が明らかになりました。長引く需要低迷を背景とした「販売不振」は、74社の倒産原因のなかで最多の42件(構成比56.7%)。次いで、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が14件(同18.9%)、「設備投資過大」と「他社倒産の余波」が各5件(同6.7%)と続きます。

慢性的な需要減で淘汰に加速
国税庁によると、日本酒の消費数量は平成5年の125万7,000キロリットルから、22年は55万8,000キロリットルへ大幅に減少しています。また、清酒製造業者数も平成5年の2,204社から21年は1,579社へ減少。
日本酒の慢性的な需要減の背景には、嗜好の多様化や若者の日本酒離れ、新たな商品開発の遅れなど様々な要因が指摘されています。

生き残るのは「旨い酒」ではなく「巧い酒」
業界全体が苦戦を余儀なくされていますが、海外での市場開拓やネット通販など、多様な販売チャンネルを見出して売上高を伸ばすメーカーも少なくはありません。経営戦略の違いが業績に大きく反映されていることから、「旨い酒が残るのではなく、売り方の巧い酒が残る」と揶揄する声も聞かれます。

ワイン大国フランスに学ぶ輸出戦略
東日本大震災の発生以降、「被災地の酒を飲んで復興支援」という動きは特に反響が大きく、この活動を最初に呼びかけたあさ開(村井良隆社長)は、昨年の出荷量が前年比23.7%増とのこと。同様に「復興支援特需」で起死回生を果たした酒蔵はいくつもありますが、これはあまりにも特別な例。永続は当てにできません。「需要低迷」という根本解決のためには、市場の開拓が不可欠です。
フランスでは、国策としてワインの国際展開を行い、大きな輸出産業として成功させています。日本でも「Sushi」を始めとした日本食の世界的な人気は誇るべきもの。これと組み合わせることで、海外への大々的な普及も見込めますが、そもそも大手メーカーと地方の蔵出しでは海外へ積極的に売り込む企業体力の違いもあるのでしょう。メーカーも行政も、経済的な面ばかりでなく、大切な文化の継承・普及を視野に、突破口を開きたいものです。

[2012.6.28]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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