「2位じゃ駄目なんです」スパコン「京」転落!技術革新で災害予測、サイバーテロ防御
スパコンNo.1は米IBM「Sequoia」
ハンブルグで開催されているインターナショナル・スーパーコンピューティング・カンファレンスでは、今年もスーパーコンピューター(スパコン)「Top500」のリストが発表され、米国立研究所のスパコンIBMの「Sequoia(セコイア)」が首位となりました。同リストは毎年2回発表され、前回、前々回は日本のスパコン「京」が首位を維持。今回は米国にトップの座を譲り渡し「京」は2位となりました。
スパコン「京」の開発は、平成21年の事業仕分けで民主党の蓮舫氏が「2位ではだめなんですか?」との追求に予算の凍結が示されましたが、研究者などからの猛反発で予算が計上した経緯があります。
実験できないこともスパコンならヴァーチャルにシミュレーション可能
スパコン「京」は、1秒間に足し算や掛け算を10,000兆回(1京回)行える能力を備え、この計算能力を活用して天気予報や飛行機・自動車などの設計、薬の開発、次世代のものづくりなど様々な分野で貢献が期待されています。
スパコンが最も得意とする分野はシミュレーションで、実験が不可能なことを理論をもとにコンピューター上にヴァーチャルモデルを作り上げ検証することが可能になります。新エネルギーや防災、災害などのシミュレーションなど私たちの生活に直接関係する分野でも活用されています。
スパコン精度:地震、津波予測は50mから10mへ精度拡大
文部科学省では、「京」の共用を今年秋に開始する予定で、大学や研究機関などスパコンのネットワークを構築し運用を目指します。官民学の持つスパコンデータを共有し、実現不可能であったシミュレーションによって地震や津波予測では、50m単位から10m単位へより詳細な予測が可能となります。
最先端の計算能力によって様々な緊急課題に貢献が期待される「京」は、神戸市の理化学研究所に設置され、利用促進機関へ申請すれば一般の研究者も利用することができます。埋もれていた課題がオープン環境によって明らかになるケースも期待できそうです。
原発事故放射線拡散予測:SPEEDIは機能せず、米国は正確なデータを政府へ提出
昨年の震災直後、福島原発事故による放射能汚染は、曖昧な非難指示に周辺住民へ不安を抱かせ、本来活躍すべき放射線汚染の地域拡散予測を担う「SPEEDI」は全く機能しませんでした。一方、米国は、航空機で測定した広域の放射能データを震災から一週間後の3月19日までに作り上げ外務省を通じ、原子力保安委員や文部科学省に提出。原発周辺から北西方向に高い放射線が広がった正確なデータは公表されませんでした。
スパコンは防災や災害予測などのほか、軍事的にも使用され首位となった「セコイア」は核兵器の研究にも使われます。日本でも官公庁や企業などサイバーテロの侵入も見られ、暗号解読などにスパコンの技術革新は欠かすことができません。技術力の維持、先端技術の発展にもスパコン技術はトップでなければなりません。
[2012.6.25]
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