SHARP「自前主義」の頓挫?TV生産を海外委託/EMS世界最大の鴻海と提携、サムスンに対抗!
中国でスマホ展開、「オンリーワン」で新市場創造:SHARPの平成24年度経営戦略
シャープ株式会社(大阪府大阪市阿倍野区長池町22‐22/社長:奥田隆司氏)は6月8日に平成24年度の経営戦略説明会を開催しました。
そこで発表されたのは、「コモディティ製品」と「オンリーワン製品」の追求。「コモディティ(必需品・日用品)製品」の創出については、平成25年度から中国でスマートフォン事業を展開するなどの方針を示しました。また、「オンリーワン」のキーワードの元では、健康・環境分野での開発や、ロボット家電などで新たな価値の提供を目指します。
世界最大EMS:鴻海と提携、韓国サムスンに対抗!
この前向きな経営戦略の背景には、今年3月に発表された台湾の鴻海(ホンハイ)グループ(鴻海精密工業股份有限公司/代表:郭台銘氏)との資本・業務提携があります。
鴻海は世界最大のEMS(Electronics Manufacturing Service、電子機器の受託生産)企業。シャープはその調達力と生産力を最大限に活かし、生産リスクを軽減することで新分野開拓にも力を注ぎます。
テレビ生産委託でリスク軽減→余力を新分野開拓へ
6月6日には、シャープが海外の液晶テレビ生産の一部を鴻海に委託する方向で調整していることも明らかになりました。シャープは日本国内のほか、中国やマレーシア、ポーランド、メキシコで液晶テレビの組み立てを行っています。このうち比較的安価な中小型テレビの海外生産の一部を鴻海に委託する方向とのことです。
「限界」報道も、海外売上倍増に意欲
「液晶パネルから完成品のテレビまで」。長きにわたって自前主義を貫いてきたシャープでも、その事業モデルを転換するまでに至るという事態は、国内の製造業に大きな衝撃を与えています。中には「日本の電機メーカーの限界」と報じる報道機関も。
ただし同社は、これまでの"垂直統合モデル"を見直すことで液晶テレビ世界首位の韓国:サムスン電子(会長:イ・ゴンヒ氏)に対抗すると、強気の姿勢です。同社は海外事業の売上比率を現在の50%から70%にするほか、「製品だけでなく、ハードとサービスを組み合わせたビジネスにも力を入れていく」として、中期的な成長については、健康・環境分野など、重点事業分野も40%から60%に引き上げるとしています。
「朝令暮改のできる経営者たれ」
企業経営おいて、ポリシーを貫くことはもちろん大切です。しかし、「事業継続」ということを考えた際に、大胆な方針転換をも辞さない決断力も必要。スピードを要する事業再生の現場では「朝令暮改のできる経営者たれ」とアドバイスすることもあります。
日本のものづくり危機が叫ばれるなか、世界で競争していくためには、経営者はさらに考えを柔軟にしていく必要があるでしょう。
[2012.6.15]
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