歴史・トレンド融合を遂げた丸の内/「JPタワー」完成、東京駅丸の内駅舎「赤れんが駅舎」復元
東京駅前に地上200m「JPタワー」堂々完成
5月31日、JR東京駅丸の内南口の旧東京中央郵便局の跡地に、「JPタワー」が完成しました。
この建設事業は日本郵政グループとJR東日本、三菱地所による共同開発事業で、「東京駅前再開発事業最後の大型案件」とも呼ばれます。約900億円かけて出来上がったのは、地上38階、地下4階建てで高さ約200mの高層ビル。7月には新・東京中央郵便局やゆうちょ銀行本店の開業を控えています。
取り壊された旧局舎も復元/スカイツリーと並ぶ「東京新名所」に!
JPタワーはこれまで、昭和6年に建設された旧東京中央郵便局舎の保存問題を巡って計画見直しを迫られるなどの曲折も見られました。その歴史的価値を広く認められながらも一度は取り壊されてしまいましたが、今回、地上5階建てで元通り再現。地下1階、地上1階の吹き抜けは南北方向に通り抜け可能な構造となっており、東京駅と有楽町駅を結ぶ新たなルートとして一般に開放されるとのことです。
タワー全体がオープンする来年春には、商業施設や国際会議施設、国際ビジネス・観光情報センターなどが入る予定。ひと足早く5月22日に開業した墨田区のスカイツリーに並び、東京の新名所として注目されることも期待されます。
歴史・トレンド融合で「脱・廃墟」を遂げた丸の内
長年馴染んだ景色が変わってしまうのは淋しいものですが、この地域は丸ビルや今回のJPタワーのように、古い建物の姿を残しながら開発が進められている特殊なモデルです。
江戸時代から、丸の内は計画されたビジネス街として形成されてきたため、整然とした街並みを保ち続けていました。しかしその一方で、祝日や休日にはビルの中にも外にも全く人がいない、廃墟のような街並みでもありました。
これに対応した形で、「丸の内再生計画」は最新鋭のオフィスビルを建設し、その中に、高級ブティックなど商業施設を誘致するというコンセプトを打ち出したのです。その結果、平成14年の丸ビルリニューアルを始め、この10年間で景観が大きく変貌を遂げると共に、集客力を高めています。
甦った丸の内駅舎「赤れんが」、震災復興の礎に!
「東京駅」「丸の内」と言えば、何を措いても「赤れんが」。長らく続いていたJR東京駅丸の内駅舎の外観復元工事もほぼ完成し、4月からその大部分が再び姿を現しています。
この駅舎が開業したのは大正3年でした。大東亜戦争の空襲により形の良いドーム型の屋根が焼け落ち、設計を変更して修復されたままとなっていましたが、平成19年に国の重要文化財指定を受け、本格的に保存・復元工事が行われました。
中央部の屋根や南北のドーム屋根の一部には、東日本大震災の津波で被災した宮城県の工場から出荷された天然スレート瓦が使われているとのこと。大正時代の創建当時の姿を甦らせた東京駅に、東日本大震災からの復興の足取りを重ねたいものです。
[2012.6.6]
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