国交省「地価LOOKレポート」地価底打ち感一歩手前か?東京23区の企業:22.7%は売却に積極的、災害で資産価値低下リスクを回避
地価動向:150地区の2/3が「上昇」「横ばい」、1月調査から増加
国土交通省は5月30日、平成24年第1四半期(平成24年1月1日~4月1日)、主要都市・高度利用用地地価動向報告~地価LOOKレポート」を発表。調査対象の150地区の地価動向は、上昇が前回1月1日調査の16地区から22地区、横ばいは同70地区から80地区に増加。下落は同64地区から48地区に減少し、下落幅も全ての地区で3%未満となっています。
リーマンショック以来の地価下落、下落に底打ち感
今回の調査では、横ばい・上昇を示した地区が102地区で前回の57%から今回は68%に上昇し、全体の約2/3を占めました。平成20年に世界中を巻き込んだリーマンショックから、急激な下落傾向にあった日本の地価動向でしたが、緩やかな下落が全体的には継続しているものの、地価の底打ちが感が近いのではないか、といった動きが出てきました。
地価上昇の要因:商業地区、マンション、オフィス、大型再開発
国土交通省では、四半期毎に先行的に地価動向を調査しており、不動産鑑定士である鑑定評価員133名が調査対象である不動産市場の動向情報を収集。各地区の不動産業や金融機関などにヒアリングを行い集約しています。調査対象地区は、東京圏65地区、大阪圏39地区、名古屋圏14地区、地方中心都市32地区の計150地区。用途別では、住宅地区が42地区、商業地区が106地区となっています。上昇を示した22地区のうち13地区は商業地区で、マンションやオフィスビル、大型再開発ビルなどが下支えした恰好になりました。
スカイツリー周辺3%、銀座・渋谷:上昇に転じる、新幹線効果で博多周辺上昇
先月開業したばかりの東京スカイツリー周辺の地価は、3%以上上昇。銀座の商業地でも3年9ケ月ぶり、大型商業施設・渋谷ヒカリエが開業した渋谷でも4年ぶりに上昇に転じました。また昨年、震災前日に開業した九州新幹線の開通効果で博多駅周辺でも上昇傾向は持続しています。
銀座:街の多様化で客足回復、店舗賃料上昇
液状化被害の首都圏湾岸:豊洲は上昇、浦安は下落が継続
一方、震災の影響は地区ごとに濃淡が見られ、福島県郡山市の商業地区は下落。液状化被害の首都圏湾岸地区は、東京の豊洲地区はマンション開発で上昇するものの、千葉の浦安では未だ下落が続いています。
東京23区の企業1,413社:売却に積極的になる22.7%
国土交通省が今年3月、東京23区に本社を持つ上場、非上場企業1,413社の「震災が及ぼす土地売却以降への影響」を調査したところ、売却の意向は「積極的になる」と応えた企業は22.7%。昨年9月の調査から5.5%増加しました。理由としては「今後発生しうる災害で資産価値低下のリスク」と応えた企業が24.9%となりました。平成23年の東日本大震災の影響は、立地の地盤の強さなども検討する傾向にあり、売却価格に影響が出ると見込まれます。
[2012.6.4]
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