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地銀・第二地銀に26兆円の不良債権予備軍!相次ぐ官民ファンド創設で中小再生支援

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地銀:ファンド設立、支援人材増員で支援体制強化
来年3月で終了する中小企業金融円滑化法を見据え、政府や地方銀行では、事業再生ファンドの設立や支援人材を増員し中小企業などの支援を強化します。中小企業など、財務など懸念がある場合でも同法のリスケジュール(条件変更)で返済を猶予。金融機関は、中小企業の資金繰りを支援し「正常債権」として扱ってきました。

来年春金融円滑化法終了、返済不能の危機
中小企業などは猶予期間中、事業の立て直しでリスケジュール終了後、約定通りの返済に戻れば問題ないものの、長引く景気低迷、震災の影響や円高、電力不足など中小企業を取り巻く環境は依然改善されず懸念されています。返済不能となれば最悪の場合、倒産に追い込まれる可能性も高まり、早めの対策が重要です。

融資額の14%が不良債権に「多い」か「少ない」か
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地方銀行や第二地方銀行は、前年度の前期決算を開示し、103行の不良債権予備軍が約26兆6,000億円、貸出額の14.4%であったとメディアが伝えました。
中小企業金融円滑化法は本来、財務内容に懸念があっても経営改善が見込めれば、金融機関は企業などの要請に応じリスケジュールに応じました。これは、金融庁からの「努力義務」の要請に金融機関が応じたもので、リスケジュールの申請は同法施行後2年半で200万件を超え、一部の経済新聞の論調では「倒産の先送り」との声も上がります。地方銀行では猶予期間終了に向け、事業再生ファンドなど中小企業支援の動きを強めています。

地方銀行:中小支援ファンド創設の一方で倒産増加への準備
横浜銀行など神奈川県の金融機関15行では、昨年官民ファンドを創設し技術力を持ちながら業績不振に陥る中小企業など約10社を支援する予定。香川、徳島銀行も3月に創設したファンドを通じ債権の買取りなど円滑な企業の再生を目指します。
一方、北陸の地方銀行6行の今年3月期の決算では、融資が回収できない引当金や破綻企業の債権処理費など不良債権処理費用が3行で増加。来年3月期の予測では倒産が増える可能性があるとして5行が増加するとしています。北陸銀行では、来年3月期の実質不良債権処理費が80億円に増えると見込んでおり、「倒産が前期のように低い水準で続くことは考えにくい」として企業倒産の増加を懸念します。

4月企業倒産7.5%減、東北は11ケ月ぶりに増加
民主党では,企業再生支援機構の組織を改変し、2~3兆円規模の「日本再生投資基金(仮称)」の創設が検討され、政府も同機構や中小企業再生支援協議会との連携体制を全国的に整えるとしています。
帝国データバンクによると今年4月の企業倒産件数は、前年同月比7.5%減の884件と4ケ月ぶりに800件台に減少。一方、東北の倒産件数は11ケ月ぶりに増加しました。手形など不渡り報告への記載猶予措置など、今年3月末で被災企業への優遇策が次々に終了した影響も考えられます。超円高や電気料金の値上げ、さらに消費増税と先行き不透明のなか、リスケ中の中小企業は早めの事業継続対策が必要です。また、将来が見えない企業は、今のうちにソフトランディングの準備も必要でしょう。


[2012.5.30]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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