大学内ハローワーク設置:地元企業紹介を定着「雇用ミスマッチ解消」、次の課題はフリーター、早期離職の防止
政府「若者雇用戦略」:経済界、専門家を講師に職業教育実施
政府は5月15日、大学生や高校生の就職を支援するための「若者雇用戦略」の骨子案をまとめました。大学の構内にハローワークの出先機関を設置することや、仕事に関する教育を支援する「地域キャリア教育支援協議会(仮称)」を都道府県に設けることが盛り込まれました。
構内ハローワーク:地元中小企業・ベンチャー企業を紹介
大学のハローワークでは、地元の中小企業やベンチャー企業を積極的に紹介。地域キャリア教育支援協議会は、地元の経済界や専門家を講師に、大学や高校へ派遣し1年生時から職業教育を実施します。骨子案は議論を重ね策定し、6月を目処に「雇用戦略対話」の会合で正式決定。中小企業の人材確保支援、フリーター大幅削減を目指します。
卒業間際、構内ハローワークの設置:就職率4.1%押上げの効果
文部科学省と厚生労働省の調査によると、今春卒業した大学生の就職率は4月1日現在、93.6%と前年同期比で2.6%増。過去最低であった前年を上回り4年ぶりに改善しました。厚生労働省は、卒業前の1〜3月に内定のない学生をハローワークへ誘導。学生と中小企業などを引き合わせたことで約1万5,000人、就職率で4.1%押し上げ、成果をみせました。
厚生労働省では、大学の求人情報とは違う「ハローワークが持つ地元の中小企業などの求人情報」を紹介することで大学にも学生にも有益であることから構内にハローワークを設置し、就職内定率改善の定着を狙います。
高校新卒:1.6%増/被災地3県対前年増加、首都圏での積極採用
一方、就職を希望する高校新卒者の就職率は、94.8%で前年同期比1.6%増となりました。東日本大震災の被災地3県でも岩手98.4%、宮城97.8%、福島97.5%といづれも前年を上回っています。高い就職率は、首都圏の企業が被災地の高校生を積極的に採用したことが要因となっています。
既卒者フリーターの就職支援が今後の課題
大学卒業後、未就職や就職後、早期離職者は2人に1人!
昨年の若年層(15~24歳)の失業率は、8.2%と全体の4.6%より倍近い高い水準となっています。少子高齢化に向かう日本において若年層の失業は、年金など社会保障にも大きな影響を与えます。また、せっかく就職しても仕事内容や人間関係などから早期離職する傾向も懸念されます。内閣府の推計では、平成22年の春に大学や専門学校を卒業後、就職しなかったり早期離職した人は2人に1人。高校では3人に2人となるなど深刻な状況です。
早期離職など就業経験のない若者の増加は、日本経済の活力をも失いかねません。政府の就職支援とともにフリーターなどの正社員化促進、早期離職対策などトータルで支援し、本人、企業とも働くことへの認識も変革しなければならないでしょう。
[2012.5.19]
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