リゾートホテル「萬正閣」の英断/コンサル主導の経営再生で債権放棄数十億円!
万世閣:会社分割で事業・雇用を継続
北海道でリゾートホテルを運営する万世閣(株式会社萬世閣:北海道虻田郡洞爺湖町洞爺湖温泉21番地/代表取締役会長:浜野 浩二氏)は4月23日、6月1日付で会社分割を行うことを発表しました。同名の新会社を設立して事業と従業員を引き継ぎ、負債の一部を引き継ぐ旧会社は清算する方針です。
北の猛者「万世閣」、不況を跳ね返し事業拡大!
万世閣の歴史は古く、昭和16年創業。「洞爺湖万世閣ホテルレイクサイドテラス」「登別万世閣」「定山渓万世閣ホテルミリオーネ」の3館を経営する、北海道でも屈指のホテルチェーンです。長引く景気低迷のなかにあっても、新規開業や合併吸収を繰り返し事業を伸ばしていました。
「北の猛者」も震災で業績が急激ダウン
ところが、昨年3月に発生した東日本大震災による宿泊キャンセルなどが影響し、厳しい経営を強いられていた様子。平成23年12月期の売上高は、前年比12%減の43億円、経常損失は4億円の赤字決算となっています。
ところが、昨年3月に発生した東日本大震災による宿泊キャンセルなどが影響し、厳しい経営を強いられていた様子。平成23年12月期の売上高は、前年比12%減の43億円、経常損失は4億円の赤字決算となっています。
取引先金融機関も再生支援/債権放棄は数十億円!
発表によると、日本政策投資銀行(政投銀)など取引先金融機関から支援を受けるとのことが明らかにされています。
旧萬正閣の金融債務は平成24年3月時点で120億円強。そのうちおよそ1/2、旅行会社など取引先への債権を新会社が引き継ぐものの、60億円以上を旧会社に残す見通しです。この負債について、取引金融機関に債権放棄を要請していましたが、政投銀や北洋銀行など、主要取引行4行がそれに応じる方針であることも併せて発表されました。
「ホテル再生のプロ」のノウハウ取り入れ、地域再生にも期待
なお、新萬正閣の資本金は3千万円。ホテル・旅館のコンサルティングを手がける株式会社楽帆(東京都渋谷区神宮前6‐34‐3/代表取締役:北村尚武氏)の子会社が株式の55%を取得し、筆頭株主として経営を主導するとのことです。社長は現萬正閣社長:浜野清正氏が務めますが、楽帆社長の北村氏が代表権を持つ会長に就任。楽帆は他4名を取締役として新萬正閣に派遣することとなります。北村氏は、楽帆設立前の産業再生機構在籍時代、宿泊施設の支援を担当しており、「ホテルニューオータニ熊本」(熊本)や「鬼怒川グランドホテル」(栃木県日光市)など、これまで全国30ヶ所の宿泊施設の再生に携わっています。
M&A型事業譲渡による事業継承
「コンサル主導」の事業再生は、経営者から敬遠されがちであったりもします。とはいえ今回は、既に数十億単位の債権放棄を勝ち取るなど、事業再生のプロのノウハウがフルに活かされており、旧経営陣の英断であったと実感できます。また、万世閣の再建が、北海道の観光産業全体の復興につながることも期待しています。
[2012.5.17]
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