任天堂が初の赤字転落!継続収入狙い「ネット課金」ビジネスへ遂に参入
任天堂:初の赤字転落!「3DS」振るわず
4月26日、任天堂株式会社(京都府京都市南区上鳥羽鉾立町11−1/代表取締役社長:岩田聡氏)は平成24年3月期決算において、売上高が前期比36%減の6476億円、最終損益が432億円の赤字になったと公表しました。
平成23年2月には携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」が鳴り物入りで発売開始しましたが、この売上が伸びず、期初予想から15%少ない1353万台に留まりました。また、円高による為替差損が影響したとのことです。
「売れ行き不振」も2位「PSP」の2倍以上の差でトップ維持
売れ行きが不振と伝えられている携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」ですが、平成23年秋以降、ゲーム機ハードの売上では「3DS」が2位「PSP」の倍以上売れるダントツの1位となっています。専門家の中には「最終的には成功といえる結果になる」と見る向きも。
ところが任天堂の岩田社長は平成23年10月28日の中間決算発表で、「3DS」について、「期待にこたえるような販売推移にはならなかった」と陳謝。平成23年7月には、発売開始当初より価格を1万円下げ、1万5000円に変更しましたが、有力なソフトが不足しているという理由で、市場の反応は芳しくなかった様子です。
遂に「ネット課金」ビジネス参戦
この赤字転落の報道と時を同じくして、任天堂はゲームのパッケージソフトの購入者に、インターネット経由で追加シナリオを販売する「ネット課金」ビジネスを始めました。これまでゲーム業界で高額請求が社会問題化していたことから参入に慎重でしたが、他社が売上を伸ばすなかで方針転換を余儀なくされたものと見られます。
4月19日、「ニンテンドー3DS」のソフト「ファイアーエンブレム 覚醒」を発売。決済はクレジットカードのほか、店頭でプリペイドカードを購入する方法があります。
ゲーム本編は、小売業界への配慮から店頭で販売しますが、ゲーム本編とは別の追加のシナリオは、ネットで300円(5月末までは無料)で販売。追加シナリオを増やし、1本のソフトで継続的な収入を狙うこととなります。
「追加」ではなく「切り売り」?/企業哲学を失うことなかれ!
パッケージ購入からネット配信へ、任天堂の方針転換も、時代の流れと共に変化しているだけと考えられなくはありません。今後、高齢化によるゲーム人口の減少と娯楽の更なる多様化が待ち構えていることを考えれば、この手の商法に転向するのは必然とも言えましょう。
しかし、このネット課金による販売を「追加ではなく『切り売り』」と批判する声も少なくはありません。
ゲームという娯楽は長い間、子どもを相手にした商売として成り立ってきました。他社が安易な方向に走っても、独自の企業哲学を通して特異性を保ち、「業界最後の砦」とも言われていた任天堂。目先の利益と引き換えに、全ての利益の根幹になる企業哲学を失うことはないと信じたいものです。
[2012.5.11]
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