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平成25年3月円滑化法終了、不良債権対策!3兆円規模の日本再生投資基金創設

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地銀:再生専門会社設立を促進、政府系ファンドも参入し中小企業支援
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政府、民主党は、党の「成長戦略・経済対策プロジェクトチーム」の中間報告で官民ファンドの企業再生支援機構を改組し、2~3兆円規模の事業再生ファンド「日本再生投資基金(仮称)」の創設を盛り込みました。平成25年春、中小企業金融円滑化法によるリスケジュールの申請が終了することを踏まえ、金融機関のリスクを軽減し中小企業の不良債権化を防ぐ狙いの基金です。

地銀対策「日本再生投資基金」、民間ファンド参入を促進
リスケジュールを多く受入れている地方銀行などに中小企業の再生専門会社の設立を促し、「日本再生投資基金」が公的資金を投入し、民間ファンドの投資参入を促す計画です。基本的には官が主導しても民間参入を促す形になりそうです。
来春の円滑化法終了:今から金融機関支援対策
中小企業金融円滑化法が施行され2年半近く経過し、再リスケジュールを申請したり、金融機関などに改善計画が受入れられず約定通りの負担が始まっている企業も多く見受けられます。リスケジュール適用期間中、金融機関では本来不良債権とされるべき企業への融資は正常債権として扱われ、金融機関は引当金を積み増す必要ありませんでした。中小企業など経営改善が進まずに資金繰りに行き詰まれば、不良債権と変わる可能性が高くなるため、金融機関では自己資本比率を安定させる為に、これを機会に資本の増強が必要になります。
来春の円滑化法終了:中小企業の不良債権増加必至
金融円滑化法の来年3月終了で経営悪化が予測されるのは、中小企業だけでなく取引き金融機関にも負担はかかるため、政府、民主党ではこの時期から対策に入りました。円滑化法終了対策の準備とみ間違いないでしょう。

再生専門会社に移された債権:改善計画の進捗次第で天国と地獄
民主党の中間報告では、金融機関のリスクを軽減するために再生専門会社を設立させ、中小企業再生のための資金を投入。事業再生ファンドであれば、金融機関の自己資本比率の規制に適用されないため中小企業救済に活用できるとしています。再生専門会社へ移された企業は再生の可能性が高くなる一方、経営改善が遅々として進まず経営が悪化すれば、廃業や倒産に追い込まれる可能性も高まります。

企業再生支援機構:ハードル高い支援要件、支援可能なのは中堅企業以上

現在、企業再生支援機構が支援する中小企業の支援には、「有用な経営資源を所有」や「過大債務がある」「3年以内に再生の見込み」などハードルの高い要件であり、全て満たさなければ支援が受けられません。本来は、中小企業支援の目的で設立されたはずですが、このようなハードルの高い要件を求める事自体に無理があるため、機構が過去、再生支援した企業は中堅企業クラス以上でした。

中小企業向け支援、ファンド活用への要件緩和
民主党では、日本再生投資基金案を今夏を目処にまとめる予定の「日本再生戦略」に盛り込むとしています。政府へは、中小企業再生のための事業再生ファンド活用要件の緩和や優遇措置が求められ、中小企業ではこのような支援策活用に向け早急に経営改善計画を立てなければなりません。
金融機関は、自己資本率維持に資金強化できなければ貸し剥がしなど回収や再編の可能性も考えられ、中小企業にとっても負担が迫られます。この時期に3兆円規模の事業再生ファンド設立で、政府は「中小支援策は打ち出した」として任務は完了します。今、決断し行動するのは、今はリスケ中でも来春再建へ向けた中小企業経営者の早い決断と事業意欲です。


[2012.5.7]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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