ヤミ金利用者前年比増!事業者:5人に1人が「利用」または「接触」/「カード現金化」でヤミ金利用に時間差、「隠れた被害者」増加
ヤミ金利用者拡大!日本貸金業協会「資金需要者の現状と動向に関する調査」
日本貸金業協会(JFSA:東京都港区高輪三丁目19番15号/会長:飯島巖氏)は3月、「資金需要者の現状と動向に関する調査」を公表しました。
これによると、ヤミ金融など非正規業者を「利用したことがある」もしくは「接触したことがある」個人の借入利用者の割合は7.8%で、昨年度の資金需要者調査と比べると1.3ポイント上昇。同じく個人で「クレジットカードショッピング枠の現金化業者を利用したことがある」もしくは「接触したことがある」借入利用者の割合は8%で、同0.2ポイント上昇したと示されています。
事業者の22.9%がヤミ金「利用」または「接触」
同様に、ヤミ金融など非正規業者を「利用したことがある」もしくは「接触したことがある」事業者の借入利用者の割合は22.9%で、昨年度の資金需要者調査と比べると7.7ポイント上昇。また、クレジットカードショッピング枠の現金化業者を「利用したことがある」もしくは「接触したことがある」事業者の借入利用者の割合は19.8%となっており、昨年度の資金需要者調査と比べると4.1ポイント上昇しています。
被害急増の「クレジットカード現金化商法」/違法も「ヤミ金」認知されず
「クレジットカードショッピング枠の現金化業者」とは、クレジットカードで商品を購入させ、手数料を差し引いた金額で買い取る業者や、ほとんど価値のないものをクレジットカードで購入させ、その代金の何割かをキャッシュバックする業者などを指します。
言うまでもなく、換金目的でクレジットカードを利用することは、クレジットカード会社の会員規約に違反する行為。これによりクレジットカードの利用ができなくなったり、犯罪やトラブルに巻き込まれたりするケースも急増しています。
この現金化商法については、消費者庁も注意喚起をしており、金融庁も広義のヤミ金として認識していることは間違いありません。
ところが、金融庁のヤミ金被害の統計ではこのクレジットカードの現金化業者の利用者は含まれていないとのこと。
「隠れた被害者」増やしただけの金融政策/資金需要者の抜本的な救済を!
ヤミ金対策法が成立してから約9年、改正貸金業法の施行からもおよそ2年。これまで金融庁は折に触れて「ヤミ金被害者は減っている」「ヤミ金業者も市場から排除できている」との成果を誇示してきましたが、実態は「隠れた被害者」の割合が増えただけとも言えるでしょう。
東京情報大学の堂下浩教授の調査報告「ヤミ金融の被害についての簡潔な報告-全ての人間は、自分とやり方がちがえば、これを野蛮という-」によると、ヤミ金の被害に遭遇する前に特に顕著な債務行動として挙げられるのが「カード現金化業者との接触」と「過払い返還請求」の二つであるとのこと。つまりは、正規の貸金業者による貸し渋りを受けてから「ヤミ金被害者」として政府に認知されるまでに時間差が生じているだけで、今後も、資金需要者が「最後の手段」としてヤミ金融に流れていくであろうことには変わりありません。
堂下教授:『借りられず不幸』『借りて不幸』抜本的に救済していない!
動向に関する調査報告のまとめで、堂下教授は「現在の政策では『借りられず不幸』な人々を急増させヤミ金融に向かわせただけでなく、『借りて不幸』となった人々を抜本的に救済していない」とも述べています。一刻も早く、実態に沿った法整備が必要です。
[2012.4.4]
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