若者の52%が「非安定就職」厳しすぎる現状が浮き彫り!雇用推計発表:内閣府/「若者雇用戦略」のカギは若者のキャリア支援、雇用マッチング促進
第7回雇用戦略対話開催、雇用推計発表:内閣府
政府は3月19日、経済界や労働界の代表や教育関係者との雇用戦略対話(第7回)を開きました。そのなかでは、「安定した職業に就いている若者の割合が5割に満たない」など、若年雇用の厳しい実態を裏付ける数字が公表されました。平成22年3月に大学や高校を卒業した学生を対象とした調査で、雇用保険の加入状況や全国の学校への聞き取りによって内閣府が推計しています。
3年以内に20万人離職、若者の52%が「非安定就職者」
22年春に大学や専門学校を卒業した学生は約85万人。そのうち、卒業後すぐに就職しているのは56万9000人にとどまるとのこと。ただし、近年の若年層の離職率が上昇している傾向にあることから、就職者のうちおよそ19万9000人が、就職後3年以内に離職するとの分析が出されました。
卒業時に就職しなかった人や、アルバイトなど一時的な仕事に就いた人は14万人。これに、中途退学している6万7000人を含めると、安定的な仕事に就かない人はおよそ40万6,000人、全体の52%にも上ると見られます。
若いほど厳しい雇用状況/高卒者約7割が「不安定」
また、これを高卒で進学しなかった人に絞って見ると一層厳しく、卒業後進学をしなかった35万人のうち安定的な仕事に就いたのが約2割、23万9000人と、7割近くが安定的な仕事に就いていないといいます。
実際には、卒業後時間をおいてから就職をしていたり、離職後すぐに再就職を果たしていたりというケースもあるため、全くのこの数を鵜呑みにすることはないでしょう。しかし、かつて日本でスタンダードとなっていたはずの終身雇用、「卒業したら正社員として定年まで働く」という安定した雇用モデルはどんどん少なくなっているのが現実。増税や年金など問題が山積しているいま、雇用問題の解決は急務です。
就労支援策のとりまとめ夏までに/格差改善やキャリア支援が核
今回の雇用戦略対話において、若者の雇用確保に向けたワーキング・グループを設置し、「若者雇用戦略」の最終案を今年6月までに取りまとめる方針が確認されました。野田佳彦首相は戦略策定に向けて「機会均等の確保」「キャリア教育の充実」「キャリアアップ支援」3点についての検討を指示。そのほか、大企業志向が根強い学生の関心を中小企業に向けさせる方策や、非正規雇用から正規雇用への意向支援策などを検討するよう求めています。
深刻な「雇用ミスマッチ」、強まる大企業志向
一頃前はベンチャーがもてはやされ、学生起業家も多く登場しました。ところが、景気後退が叫ばれるに従って若者が安定を求めるようになり、大企業志向が強まっていることによって「雇用のミスマッチ」が深刻化しています。大企業の新規採用数は上向いていますが、人材を求める中小企業に志望者は集まらず、若年層の雇用拡大にはつながってはいません。
再雇用制度のしわ寄せも懸念
また、政府が平成25年度の導入を目指している高齢者の再雇用制度により、経済界では「若年者の雇用を減らすなど若者へのしわ寄せが生じる」という懸念も生じています。
希望者全員を65歳まで再雇用することを企業に義務づける高年齢者雇用安定法改正案の狙うところは、より長く働いてもらうことで、年金制度を維持しやすくすることです。しかし、法改正によって、本来年金制度を支えるはずの若者が雇用の現場から迫害されてしまうというのでは本末転倒。終身雇用さえ約束されていない若者にとっては、今の生活の安定も将来の年金需給も現実味がなく、深憂極まらぬことでしょう。「改善」よりももっと抜本的な「改革」がなされなければ、国民の雇用安定も年金制度の維持もできません。
[2012.3.24]
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