倒産減少傾向の大企業、ピークはリーンマンショックの35件、「中小・小規模企業」倒産が増加傾向
前年から倒産急増:北海道,近畿の中小・小規模企業
帝国データバンクが3月8日発表した今年2月の企業倒産集計によると、倒産件数は前年同月比10.4%増の976件と3ケ月ぶりに前年を上回りました。前年同月比2桁の増加率は平成21年6月以来、2年8ケ月ぶりとなります。
被災地の東北地方では、中小企業金融円滑化法によるリスケジュールや復興緊急保証、復興特別貸付など金融支援のほか、手形の不渡り処分猶予などの効果で倒産は、前年同月比17.9%減と昨年の6月以降9ケ月連続で前年を下回ります。一方、復興需要の恩恵を受けにくい北海道では同比54.5%増、近畿が同比35.6%増など建設業を中心に中小・小規模企業の倒産が目立っています。
2月企業倒産:99.8%が中小,うち88.6%は小規模企業
2月の倒産による負債総額では、6,289億8,000万円と前年同月比60.5%増と大幅に上回りましたが、半導体大手のエルピーダメモリが4,480億3,300万円と関連会社と合わせると負債総額全体の72.5%を占めたためです。実質、小規模企業の倒産が増加しているのが現状です。
負債総額別に見ると負債5,000万円未満の倒産は、構成比57.1%の557件で過去10年で最高となります。中小企業基本法による中小・小規模企業では、974件と全体の99.8%を占めました。このうち小規模企業は865件と88.6%に上っています。
年間倒産件数は横ばいも負債総額が急減
エルピーダメモリの倒産は、上場企業では5ケ月ぶりで平成23年度の累計では4件と、22年度の9件から半減しています。平成20年のリーマン・ショックにより上場企業の倒産は同年度35件とピークを迎えて以降、月日とともに落ち着きをみせ、一昨年から中小・小規模企業の倒産が増加傾向にあります。
昨年1年の企業倒産件数は11,369件、負債総額は3兆4,637億3,300万円に対して、一昨年は倒産件数こそ11,658 件と昨年とほぼ同様ですが,負債総額は6兆8,101億4,700万円と昨年の約2倍となるなど、規模の小さな企業の増加が目立ちます。
倒産にカウントされない企業の休廃業も2万件超え
震災から1年が過ぎ,地震や原発事故などの影響で直接・間接被害を受けた企業の倒産は日本全国に広がりを見せています。地震発生から1年目の関連倒産件数は阪神・淡路大震災の約3倍。さらに倒産としてカウントされない休業や廃業など今年度も2万件を超えるなど先行きの見通しがつかず事業継続を断念する企業も増える懸念が残ります。
増加傾向にある中小・小規模企業、さらには零細企業にとっては厳しい現実が映し出されています。事業再生の現場では、金融機関や自治体、商工ローン、消費者金融などから資金調達できず、資金繰りに目処が立たずに相談に訪れる相談者の数が増えているのも現実です。
[2012.3.13]
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 倒産減少傾向の大企業、ピークはリーンマンショックの35件、「中小・小規模企業」倒産が増加傾向
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.h-yagi.jp/mt5/mt-tb.cgi/807
コメントする