住宅着工数:2年連続前年比増/災害リスクでマンション人気急上昇/地域差広がる回復度合い
住宅着工:2年連続前年比プラス/震災で一時停止!夏には回復/28.9%増!分譲マンション人気
1月31日に国土交通省が発表した統計によると、平成23年の新設住宅着工数は83万4117戸(前年比2.6%増)で、2年連続で増加となりました。東日本大震災の発生以降は、全国的に一時、住宅着工が滞りましたが、夏場には回復。「フラット35」の金利優遇や「住宅エコポイント」などの政策効果が奏功し、個人の住宅購入を促したものと見られます。
内訳を見ると、分譲住宅は23万4571戸(前年比16.2%増)、持ち家は30万5626戸(0.1%増)、貸家は28万5832戸(4.1%減)という結果。好調に推移した分譲住宅のうち、マンションは11万6755戸(28.9%増)、一戸建て住宅は11万6798戸(5.8%増)と、特にマンションが著しい伸びを見せています。
関西最後の一等地梅田の「グランフロント大阪」億ションも契約率9割超!
地域別では、東京を中心とした首都圏が5.0%の増加。関西圏や中部圏は年間では前年マイナスとなっていますが、その中でもマンション販売は好調を保っています。大阪では、「関西最後の一等地」とも呼ばれる梅田の「グランフロント大阪」の契約率が9割に達したとのこと。
総戸数525戸中、平成23年販売分は280戸。そのうち250戸が既に契約済み
このマンションは「最高価格4億円」とも報じられており、超高級マンションとして注目を集めていましたが、昨年9月の販売開始以来、予想をはるかに上回る人気です。総戸数525戸中、平成23年販売分は280戸。そのうち250戸以上が既に契約済みであると計算すると、その規模の大きさが実感できます。昨年10月単月では、関西圏のマンション販売が前年比11%増という数字を残していることからも、同マンションの初動の芳しさが窺えます。
耐震補強+自家発電:「高くても売れる」災害リスクに対応した不動産戦略
昨年3月に発生した東日本大震災は、地震と津波により国内の多くの建造物に甚大なダメージを与えたばかりでなく、私たちの住宅に対する概念を見直す大きな転機を与えました。耐震補強など、自然災害リスクに備えた対策が前にも増して重要視されるようになったほか、東京電力福島第一原発の事故の影響による電力不足の懸念から、省エネ対策も一層注目されています。
知人の不動産業者の談によると、やはりそれらの対策が充実したマンションの販売が飛躍的に伸びているとのこと。「短期的にコストがかかったとしても、確実に売れる」として、震災後、自家発電設備を設計に加えた物件も多いと語ります。
水源が枯れるなど「見えない被災」で取り残される被災地
東日本大震災の被災地、東北では住宅着工数が前年比4.3%減と、他の地域に比べても減少の幅が大きく、回復にはまだ時間がかかると思われます。
放射能汚染の問題が依然として解決しないこともありますが、地震により井戸などの水源が枯れてしまったという「見えない被災」に苦しめられている地域も数えきれません。このケースは、自治体の補助なども受けづらく、復旧に多額の自己資金が必要であることから、その地域に住み続けることを断念せざるを得ない人も現れているのです。被災地の住宅問題、人口流出解決のためには、インフラの整備が大きな課題となります。
[2012.2.6]
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