米国・教育の変革「デジタル教科書」急速普及に「授業に合わせた教科書が簡単に作れる」アップルの仕掛け
スティーブ・ジョブズ:「より創造的で効果的な教育を実現」
米アップル社は1月19日、教科書の電子書籍化を普及させるためのソフフト「iBook2」と編集用の無料ソフト「iBooks Author」を発表しました。タブレット型の多機能携帯端末「iPad」用の教育コンテンツを増やし、教科書として利用する需要を開拓するとしています。
iBook2:生徒の関心を引き出しながら教育/米国アップル:最新教材配信
「iBook2」は、動画やアニメーション、写真、検索機能など様々な教材を統合的に使用し、生徒たちの関心を引き出しながらの教育を現実化。アップルでは、米国で教科書を扱う出版社と連携し、最新の教材を配信します。「ITを使い、より創造的で効果的な教育を実現したい」と願ったアップルの創業者・故スティーブ・ジョブズの夢がまた一つ現実となりました。
授業に合わせオリジナル教科書の作成が可能
「iPad」は、平成22年に発売され世界各国でヒット商品となり、教育現場でも電子教科書として注目。すでに150万台の「iPad」が教育機関で使用されています。この「iPad」のデジタル教科書化を加速させるサービスとして提供されるのが「iBooks Author」。様々なアップルデザインのページレイアウトが用意されていて、誰でも簡単に電子書籍を作ることができます。教師が授業内容に合わせてオリジナルの教科書をつくることも可能になります。普及すれば新しい価値を生み出し創造力豊かな、既存の発想にとらわれない教育現場になりそうです。
日本の教育現場:事業仕分けで予算4割に抑制
日本では、平成14年に授業時間などを減少した「ゆとり教育」が始まりましたが今年度、再び「脱ゆとり」へ動き出しています。総務省では、平成22年度に公立の小学校10校でタブレット型端末を配布し、デジタル教科書の実証実験を始めましたが、政府の「事業仕分け」により無駄と判断。予算を約4割に抑えられ規模が縮小となりました。デジタル教科書化導入への遅れが懸念されます。
実証実験校となった東京・葛飾区立本田小学校では、動画やグラフなどがふんだんに取り込まれたデジタル教科書は瞬時に映し出され、児童の関心を引きつけ集中力が高まる結果をもたらしました。保護者側も子供の関心を引きやすい道具の進化に、勉強の成果を期待する声も多いようです。
デジタル教科書導入アンケート:賛成が7割!
日経電子版が昨年6月に30~50代読者に行った「デジタル教科書」に関するアンケートによると、デジタル教科書導入に賛成が69%でほぼ7割が賛成と高い関心を示しました。
最も多かった理由は「学習時の情報量が増える」が42%と、紙だけでは得られない最新の情報が手に入るなどの声が目立ちました。
ダブレット型端末教科書:動物の動きや鳴き声
ダブレット型端末教科書:動物の動きや鳴き声
タブレット型端末の教科書が普及されれば、数冊の重い教科書や副教材を持つ必要もなく、通学に数キロ自転車で通う生徒も安全。さらに紙では得られない動画など動物の動きや鳴き声など、タブレットならではの利便性が実現されます。部分的に導入が始まりつつある日本でも近い将来、教育の現場が大きく変わりそうです。
[2012.1.26]
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