トムソン・ロイター:日本企業の海外M&A・過去最高5兆8千億円!円高追い風、世界経済迷走で問われるリスク管理
米トムソン・ロイター:円高追い風に日本企業M&A、20%増の 639件
米調査会社のトムソン・ロイターによると昨年、日本企業が海外企業に対するM&A(企業の合併・買収)は、前年比20%増の639件、投資金額は82%増の698億8,800万ドル(約5兆5,796億円)と、いづれも過去最高と明らかにしました。1ドル70円台後半と長期化する円高を追い風に、海外企業との合併や買収など、成長市場に新たな商圏や生産の拠点シフト、現地企業ライセンス生産など、日本企業の海外進出は今年も続きそうです。
平成20年、リーマン・ショック後には一時縮小傾向にあった日本企業のM&A。少子高齢化で国内市場が低迷するなか、医薬品や飲料・食品など内需型産業が積極的に海外に活路を求める姿が目立っています。
大手ビール続々海外企業買収
ビール業界では、キリン、アサヒ、サントリー、サッポロの大手4社が国内市場でシェアを奪い合うなか、市場は前年から約3%と減少と見通されており平成4年の調査以来、過去最低に国内市場は落ち込みます。各社ノンアルコールビールなど新たなニーズに取り組みますが急上昇は見込めず、海外の成長市場へ活路を求めざるを得ない状況です。
ビール業界では、キリン、アサヒ、サントリー、サッポロの大手4社が国内市場でシェアを奪い合うなか、市場は前年から約3%と減少と見通されており平成4年の調査以来、過去最低に国内市場は落ち込みます。各社ノンアルコールビールなど新たなニーズに取り組みますが急上昇は見込めず、海外の成長市場へ活路を求めざるを得ない状況です。
昨年、アサヒはニュージーランドの酒類大手・インディペンデント・リカーを約1,000億円で買収。キリンもブラジルのビール大手・スキンカリオールの株式を約1,000億円で追加取得し、完全子会社化すると発表しました。サントリーは、M&A戦略を担う子会社をシンガポールに設立と発表。東南アジアを中心に本格的にM&Aに乗り出し、インドネシアの食品・飲料企業と合併会社を設立予定です。
ピンチをチャンスに!大企業から中堅へ広がるM&A
薬品メーカーでも昨年、武田薬品工業がスイスの大手製薬会社・ナイコメッドを約1兆1,000億円で買収し子会社化。大正製薬もマレーシアの医薬品メーカー・Hoepharma Holdingsの全株式を約104億円で取得。塩野義製薬は、香港の製薬会社・C&Oファーマシューティカル・テクノロジーを約138億円で子会社化しました。
国内の輸出産業にとって円高や電力供給不足、自由貿易の遅れ、高い法人税など幾十もの障壁に業績が圧迫。海外企業のM&A は、ピンチをチャンスに変える絶好のチャンスにもなりうるだけに大企業から中堅企業へ、大都市から地方都市へ広がりを見せています。
ターゲット国・企業の政策、デューデリがM&A成否の鍵
海外M&Aの成否の鍵となる景気動向は、欧州債務危機問題などで世界的な減速懸念からM&Aのリスクが全くない訳ではありません。買収した海外企業が、期待通りの業績を残す保証はなく、競合他社に先を越されるからと無理をして海外投資に走る企業も増えるのではと懸念する声も上がっています。
しかし、長引く円高を追い風に、海外企業のM&Aは、日本企業の持つ資金力や技術力などの注入で成長市場への参入を可能とします。技術はあっても資金や、時間などが限られる中小企業にとって、成功に導くM&Aはターゲットとなる国の政策や企業の十分な資産デューデリジェンスなどリスク構築策が重要となります。
[2012.1.16]
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