食品・雑貨業界の戦国時代:「個性+品質」で勝負の第3ステージに突入
苦戦強いられるスーパー業界、ライフスタイル変化への対応がカギ
景気後退や少子高齢化など、さまざまな影響を受け、スーパー業界の市場規模は年々減少しています。日本チェーンストア協会の「チェーンストア長期統計」によると、業界の総売上高はここ10年ほどの間に大幅に減少。近年はネットスーパーやディスカウント店など、新たな業態の展開も加速し、大手・老舗と言われる企業も、生き残りのために苦戦を強いられています。
社会の変化を受けて惣菜販売を拡張したコンビニチェーンは、女性客の拡大に成功を収めましたが、「食材ではなく惣菜」という志向の流れについていけなかった企業は、更に厳しい状況に置かれる結果となっているのです。
安さ<面白味?「個性派ストア」に人気集中一方で俄然注目を集めているのが、これまで見たこともない海外の食品や、高価で上質な惣菜といった商品が並ぶ海外チェーン店や中小の専門ブランドなど。背景にあるのは、消費者の意識の変化です。
特価セールが激化するにつれ、その集客力は次第に薄まりつつあります。共働きなどライフスタイルの変化により、忙しくなった主婦層には「安値を追うのに疲れた」という疲弊感が蓄積。また、どの店に行っても値段の差しかないような、画一化されきった商品陳列は、消費者から既に飽きられています。
代わって重視され始めたのが「個性」や「面白味」という要素。買い物を楽しめる個性派ストアがファンを増やしています。
スーパーの黒船:コストコ/アメリカ発のダイナミックさ、テーマパークのような楽しさで圧倒
アメリカ発祥の会員制倉庫型スーパー「コストコ」の日本上陸から12年。アメリカン・スタイルそのままでの「有料会員制」展開の勢いが止まりません。
年会費4200円ですから、一見、敷居が高そうに感じられますが日本国内での人気は、すでに北海道から九州まで現在12店舗、今年2月にも兵庫県神戸店がオープン予定という勢い。
コストコは、スウェーデン発祥の大手家具店「イケア」同様、世界的な商品調達を武器に、徹底した低価格を訴求し、集客力を強めています。その魅力は、単に価格が安いというだけではありません。
店内に並ぶ輸入食品や惣菜品は、そのどれもが日本のスーパーでは見たこともないビッグサイズ。広い倉庫内で巨大なカートを押しながら、珍しい食材探しに夢中になり、そのサイズに驚嘆し、本場の味に舌鼓を打つ。その売り場構成も毎週のように変わるなど、テーマパークのような楽しみがあり、漫然とした日々の買い物に倦んだ消費者の購買意欲をとことん刺激しています。
再評価受ける日本の中小専門ブランド
対して、通路狭めの店内に輸入食品が所狭しとひしめく「カルディ」は、その名の通り元々はコーヒーショップであるものの、チルド製品やお菓子、酒類など、バラエティに富んだ商品構成に、掘り出し物を探す楽しさが満載。もちろん、オリジナルの挽き売りコーヒーが常時30種類以上というコーヒーの充実度はさすがの一言に尽きます。
少し前までは「セレブ御用達」というイメージが強かった成城石井も、近年は「プチ贅沢」というキーワードと共に利用客が急増。グルメ欲をそそる商品群に加え、その揺るぎないブランド力が満足度を高めてくれると評価が高まっているのです。
今後は「品質」も問われる時代
自然派食品やデパ地下など、食卓を取り巻く環境はいくつものブームを経てきました。いつものスーパーで食材を買い、毎日似たようなお惣菜が並ぶ...というスタイルは既に終わりを迎えつつあります。代りに台頭しているこれらのストアに共通するのは、忘れていた食に対する好奇心を思い出させてくれること、「見る」「買う」「味わう」ことの楽しさを教えてくれることに他ならないでしょう。とはいえ、扱っている商品の品質が悪ければ人気が長続きしないのは自明の理。
昨今の円高の影響を受け、同様の店舗の増加も予想されますが、最終的には口に入ったものの品質が評価の決め手となることは間違いありません。食品雑貨の業界は、個性だけでなく、実力も問われる第3のステージに突入しているようです。
[2012.1.5]
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