外国人観光客はやや回復基調、中国人観光客は35%も増加!/円高が「ダルビッシュ有」メジャー移籍にマイナス影響?
訪日外国人観光客:震災以降9ケ月連続前年比減/縮小幅は縮小傾向
日本政府観光局(JNTO)は12月16日、11月の訪日外客数・出国日本人数を発表しました。これによると、11月の訪日外国人旅行者は55万2000人。前年同月と比較すると13.1%減で、東日本大震災発生以降9ケ月連続のマイナスとなりました。
ただし、訪日外国人旅行者数は前年比マイナスの状態が続いてはいますが、減少幅は震災発生後の4月を底に、徐々に縮小傾向にあります。これを明るい兆しと捕らえ、好循環を創出していきたいものです。
ニッポン再興支えるチャイナパワー/規制緩和で35%増の急回復
回復を大きく後押ししているのは中国人観光客。中国からの訪日旅行者は9万2300人で前年同月比35.0%増、香港も同22.8%増と、急回復を見せています。
昨年同月は9月の尖閣諸島沖中国漁船衝突事件の影響を受け大幅に減少していたことからの反動もあります。また、今年3月以降は東日本大震災の影響もあり、8月までは4割台の減少が続いていましたが、政府が中国向けの個人観光ビザの発給要件緩和が観光需要を喚起し、震災後初めてプラスに転じました。
さらにこの数は、11月単月としては過去最高を記録しているとのこと。日本中に漂う閉塞間に風穴を開けてくれたのはまたもやチャイナパワーです。
欧米からの訪日呼び戻しには「安心」「安全」が大前提
対中国ではまだまだ開拓の余地が見られますが、岩手・宮城・福島の沿岸部を中心に、東北地方への旅行は自粛するよう、政府による勧告を継続している国も少なくありません。また、東京電力福島第一原発の事故による放射能汚染に対する不安が継続していることが課題となっています。これにより、再興にも大きく地域差が出ているのです。
地域別に見ると、京都・奈良・大阪など西日本では外国人観光客数も比較的震災前の水準に戻りつつあるものの、東北・関東は回復が鈍い様子。震災前と比較すると、観光客数ばかりでなく、宿泊日数の短期化も目立っています。
日本観光のメッカである浅草のすぐそばでは、スカイツリーの開業が待たれています。新たな観光スポットの登場による相乗的な集客を見込むためにも、1日も早く旅行の大前提となる「安全」「安心」を確立することが必要です。
対ドル・ユーロ・ウォン...八方塞の円高が足枷
もうひとつ、欧米からの旅行者の回復遅れの要因となっているのが、市場最高水準の円高です。米ドルに限らず、ユーロ、韓国ウォン、香港ドル、豪ドルなどに対しても円高が定着していることで、日本が海外からの旅行先として選ばれるには有利ではありません。米国からの旅行者は前年同月比10.1%減、フランスは同19.1%減、英国は12.4%減と同月比2けた減少が続いていて、回復にはまだ時間がかかることでしょう。
現在のところ、円高は価格競争に不利です。今後、収益を求めるならばVIP向けの高額商品に特化するなどの転換が必要かもしれません。
メジャー移籍目前のダルビッシュ/「史上最高額」も円高で目減り
野球界では、日本ハムのダルビッシュ有投手がメジャーリーグへの移籍を目指しています。20日にはテキサスレンジャーズが、同リーグのポスティングシステム(入札制度)では史上最高額で交渉権落札と報じられましたが、その金額「5170万ドル(約40億3300万円)」と表記されているのを見て、改めて異常な円高を実感し。
レンジャース側では5年間で8,830万ドルもの条件を提示しています。しかし契約金もドル建てのため、このまま円高の状態が続けば手取りも目減りしてしまうとあり、日本の関係者としては痛し痒しといったところででしょう。「総額100億円超」とも語られるダルビッシュ選手の移籍交渉は、年明けまで続きます。日本時間で来年1月19日午前7時の期限までに、円高も回復されることを祈ります。
[2011.12.28]
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