日銀短観・回復軌道修正:自動車産業に円高の重荷、為替介入に吠える日産ゴーン社長!トヨタは税制改革提言!
企業約1万社の業況調査:株式市場にも影響
日銀は12月15日、12月の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表。長引く円高や欧州の債務危機、タイの洪水被害など輸出産業を中心に先行き不透明感を強める現状が浮き彫りになりました。
日銀が実施する短観とは、景気動向を把握するために全国約1万社の企業に年4回統計調査が行われ、「現状」「先行き」の業況などに加え、売上高や利益、設備投資など事業に関わる項目について調査されています。短観で最も注目されるのは、業況判断DI指数で企業の景況感を示す代表的な統計として株式市場にも大きく影響があるものです。
サプライチェーン早期復旧も、次は円高にタイ洪水被害
12月短観では、大企業・製造業の多くでDIが悪化しており、特に電機機械では前回の9月調査から16ポイント引き下げられ、マイナス21ポイントまで落ち込みました。地デジ特需も終了し、薄型テレビや半導体などアジア新興国メーカーの急伸で価格競争から世界的に急落しました。
震災によるサプライチェーン(供給網)の早期復旧で急速に生産が改善した自動車産業では、円高や向かい風となるタイの大洪水によって再び先行き不安感を露呈しました。トヨタやホンダなどは、洪水被害で現地工場が操業停止し、減産に追い込まれました。
自工会:「円高の重荷があまりに重い」
日本自動車工業会の志賀会長(日産自動車最高執行責任者)は12月15日の会見で、日銀が示した短観の先行きについて「円高の重荷があまりに重い」と強い懸念を示します。自動車産業は、円高により海外での販売を盛り上げるのに苦労しており、欧米の市場について「依然、綱渡り状態が続いている」と慎重な認識を述べました。
会見では、自動車重量税の一部軽減やエコカー減税の延長・補助金復活など政府支援に感謝は示すものの、重量税と自動車取得税など抜本改革は先送りとなっているため充分でないと強調します。
円高対策:日産「スイス見習ってくれ!」、トヨタ「税制改革で産業に波及効果」
11月29日には、都内で「東京国際自動車会議」が開かれ、日産のゴーン社長が講演。歴史的な円高について「スイスを見習ってくれ」と、無制限の為替介入も辞さないスイスの対ユーロ対策を引き合いに政府、日銀に介入を促しました。長引く円高が国内の雇用、産業喪失に繋がる懸念を示しています。
一方、トヨタの豊田社長は11月24日、報道インタビューで円高が続く現状に「自動車産業の崩壊が始まっている」との危機感を強調。自動車関連税の改革をに踏み切り、エコ住宅やインフラ整備への波及効果を訴えました。
短観の今年度業績予想は、製造業で経常利益が前回の0.2%増益から5.2%減益へ下方修正されました。しかし復興需要はまだ盛り上がっていません。復興特区などを上手く利用し政府、日銀による本気の円高対策で閉塞状況を打破しなくてはなりません。
[2011.12.20]
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