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「困った時はお互い様」タイ洪水:ローム製品をルネサンスが代替え生産、赤尾社長「恩返し」

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バンコク:水の勢い弱まる。いまだ続く冠水状態
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記録的な降雨量により大規模な洪水に見舞われているタイは、10月下旬の大潮を過ぎ、首都バンコクに押し寄せる水の勢いは弱まってきたものの、未だ冠水は続いており日系企業の多くに甚大な被害が出ています。今年は世界中で水害が猛威をふるっていますね。

日本から専門家派遣:バンコクの水質管理支援
日本からは水道などの専門家が派遣され、首都バンコクの浄水場の水質管理を支援。有用微生物群が汚水対策に活用されるなど日本への技術の評価が高まっています。日本は30年にわたり浄水場整備など水道事業を支援しておりインラック首相からも謝意が示されています。

ローム:2工場浸水、12月再開目指す。フル操業は早くても来年2月
操業停止に追い込まれる日系企業が多くあるなか、自動車関連の半導体や電子部品を供給しているロームは、アユタヤ県とパトゥムタニ県にある工場が浸水し操業を停止し、復旧作業に追われています。12月中の再開を目指していますがフル操業に戻るのは来年2月になる見通しで供給先への影響が懸念されます。

ルネサス:震災からの早期復旧はライバル社からの応援人員2,500人の活躍
東日本大震災では、東北地方に集中した自動車や電機・電子産業の工場の被害で、サプライチェーン(供給網)は混乱し、部品など供給がストップ。自動車など世界の完成品生産を停滞状態に追い込みました。半導体大手のルネサスエレクトロニクスも震災直後1ケ月で50万台の減産を余儀なくされましたが、想定より復旧が早まったのは何と同業メーカーであるライバル企業からの支援によるものでした。同社には、1日最大2,500人が駆けつけ、6月には復旧し操業を再開することができました。

経産省:「困ったときはお互い様」タイ生産補てんを国内工場で代替え
経済産業省は、震災による停滞を回避しようとルネサスエレクトロニクスに、ロームがタイで生産する車載用のLSI(高集積回路)の生産支援を要請。ルネサスエレクトロニクスは、ロームが生産する半導体の組み立てなど「後行程」であることから、比較的容易に代替え生産が可能と判断。同社がが生産余力をもつ日本の工場で代替え生産することが11月14日明らかになりました。
半導体など供給先は国内外に及び、日本の半導体メーカーとして供給を止める訳にはいかないのは、ライバル企業も同じ気持ちでしょう。「困ったときはお互い様」という日本の文化が、危機的状況時のビジネスモデルとも言えそうです。

ルネサス赤尾社長:「助けてもらったお返しを」
ルネサスエレクトニクスの赤尾社長は、タイの洪水に関して「地震のときに助けてもらったお返しをしたい」と快諾。国内メーカーへの恩返しに繋がりました。
日本のものづくりは国内から海外へ供給先が拡大し、完成品工場などへ輸出。小さな部品一つでも完成品とならないというジレンマを震災によって思い知らされました。歴史的な洪水被害となったタイでは、オンリーワンである工場はなく、代替え生産などスムーズに行えることになりましたが、これも震災からの教訓と思われます。危機的状況時、代替え生産はライバル会社とはいえ日本企業として協力し合えることがBCP(事業継続計画)とともにビジネスモデルとなりそうです。

[2011.11.18]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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