四日市市で工場夜景サミット:川崎、室蘭などが集い観光PR/自然と共生:畠山直哉展
団地、工場、高速道路...細分化する景観マニア
鉄子、鉄男、乗り鉄、撮り鉄、コメ鉄...鉄道マニアにも様々分けられるのだとか。趣味の幅が広がるにつれ、見過ごされていた、意外なものにビジネスチャンスがあることに気づかされます。
以前、都内の大手書店で世界遺産や国内外にある名勝の写真集を集めたコーナーを見ました。その中に「団地萌え」「廃墟萌え」「ダム萌え」といった文句が目を引いたのです。何のことかと思えば、ひたすらそれらの建物を写した写真集が山と積まれていました。他にも工場や高速道路など、生活に溶け込んで何気なく見ているはずのものでも、見方によってはユニークな景観としてクローズアップされていたのです。
「環境汚染の元凶」から一転、「アート」に/高性能デジカメの普及
聞けば、その無機質な外観に「構造美」を見出す人も多いとのこと。さらには、インターネットのサイトなどを通じて、同じ感性をもった持った人達の輪が拡大するとともに、オフ会などと称して見学ツアーなども開催されています。近年、「大人の社会科見学」が企画され、食品メーカーなどの工場見学も人気を博しています。これは建造物そのものがサブカルチャーとして認められたことにより、これまで「環境汚染の元凶」と捉えられていたような高度経済成長期の遺物のような古い工場なども新たな「観光資源」として着目されています。
一方、高性能のデジカメが手軽な価格で手に入るようになり、現像や焼き増しが不要になったことで経費が不要になり、しかもデジタルデータなので、パソコンで簡単に加工もできるようになった今の時代。
プロのデザイナー仕事の領域が、趣味レベルの腕前でもアートっぽく表現できることが、こうした裾野を広げている要因でしょう。
「公害の町」のイメージ払拭!地域挙げての魅力アピール
11月10日には、三重県四日市市で「工場夜景サミット」が開催されました。四日市をはじめ、工業地帯にある北海道室蘭市、神奈川県川崎市、福岡県北九州、兵庫県姫路市、山口県周南市の6地域が集まり、「工場夜景をPR」するなど観光客を呼び込む取り組みを行うとしています。
四日市コンビナート夜景クルーズ:7割が市外から参加
四日市市では昨年7月から、「コンビナート夜景クルーズ」を始めていますが、およそ7割が市外からの参加とのことで、地域経済への波及効果が大きいことも窺えます。コンビナートや工業地帯というと、空気が悪いとか「公害」などといったマイナスなイメージがつきまとっています。それを逆手にとって、新たな観光事業に発展させることで地域振興につなげる狙いのサミットです。
自然との共生を考える「畠山直哉展―Natural Stories―」
東京都写真美術館(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)では、12月4日まで「畠山直哉展―Natural Stories―」が開催されています。畠山氏は、写真界の芥川賞とも語られる「木村伊兵衛賞」も受賞するなど、日本を代表する写真家の一人です。畠山さんは、都会の建築群や地下水路、鉱山の現場など、普段は目にしない独特な光景を数多く撮影しています。
東日本大震災発生後の風景のスペース
今回の個展では、故郷・陸前高田の東日本大震災発生後の風景を集めたスペースも設置されていました。人為の及ばない自然の猛威を伝える写真を目の前にすると、今後どのように自然と共存・共生していくべきかおのずと考えさせられます。
震災発生から8カ月が経過しました。未だ生まれ育った故郷に帰ることも、風景を見ることすら叶わない方も多くいらっしゃいます。津波被害に原発事故が収束し、新たな観光者を呼び込むことができる日がどうか早く訪れるよう、祈らずにはおられません。
[2011.11.17]
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