東証・大証統合:グローバル化目指す総合取引所構想への第一歩!金融・経産・農水3省庁合意が鍵だが、その後はどうなる?
大証・東証統合は2年先/TOBで子会社化、持ち株会社設立
東日本大震災により協議が延期となっていた東京証券取引所と大阪証券取引所は、平成25年春を目処に統合。持ち株会社を「日本取引所グループ」とすることが11月8日明らかになりました。昨年6月、政府の新成長戦略に証券や金融商品、先物商品などを一括する「総合取引所構想」を打ち出してており、現実へ向け第一歩を踏み出しました。
統合比率や経営体制などの詳細は月内に発表されますが、東証が上限付きのTOB(株式の公開買い付け)で大証を子会社化し、その後大証を存続会社として持ち株会社を設立するとあります。我が国にとっては、大きな動きであることはよくわかりますが、目まぐるしく変化する世界の動きに順応するスピード感とはとても言えません。
アジア株式市場はオープン、日本だけが国内で競争
米国や欧州の金融不安から統合のスピードを加速させたいものの、厄介なことは、大証が上場企業であるのに対し、東証は非上場であることです。合理性が優位になることは当然ですが、日本独特の商慣習をどのように折り合いをつけるのか、大変興味があります。海外の市場では国境を越え再編が加速しており、日本だけが点在する取引所で独自運営されていてグローバル化が遅れています。早期統合への規制の緩和が望まれます。TPP参加も近く、海外からの圧力も予想できます。グローバル化で拡大のチャンスの芽を摘まないように、早期統合をしたいところです。
投資家「1カ所で全て取引可能」:総合取引所構想
「総合取引所構想」は現在、証券取引所や金融取引所が金融庁の管轄。穀物商品取引所は農林水産省、工業品取引所は経済産業省と分かれており、各々が別々に管理、運営されています。構想では、投資家目線に立ち、縦割りの垣根を取り払い一括した取引所を作り上げ、アジアの金融センターを目指すとしています。3省庁が日本復活のために円滑に障壁を取り除くことができるか課題が残ります。一方でワンストップ、ということは、万全なセキュリティー完備と、市場に対する国家としてのアイデンティティーは同時に確立してゆくことが必須になります。
3省庁、構想に合意得られず1月は見送り
今年1月に「総合取引所構想」は、証券や金融、商品を一体的に捉えるとして国会へ提出されるはずでしたが、3省庁間での合意は得られず見送られた経緯があります。その後、東日本大震災や原発事故、円高、自由貿易と、産業界、農林水産業界の状況は大きく変わりました。株価低迷で株式市場は冷えきり、コメの先物市場にも活況は見られません。
今こそ省庁が一体となり民間とともに積極的に海外市場を取り込まなければなりません。企業は事業の継続、拡大を目指し統合、再編し国際競争力を向上させています。いっそのこと3省庁も経済金融農水省に再編したほうが物事全てスムーズに運びそうですが・・・。
●関連記事:東証・大証TOBで統合:加速なるか「総合取引所」グローバル化で国際競争力強化[2011.8.18配信]
●関連記事:東証・大証統合:国際競争力強化!、震災復興途上の日本に海外投資家招集[2011.3.26配信]
[2011.11.12]
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