経産省:中小支援、厚労省:デバイス・ラグ解消、被災地特区で世界40兆円産業「医療機器」開発支援
経産省12分野の医療機器開発支援
経済産業省は9月20日、「課題解決型医療機器の開発・改良に向けた病院・企業間の連携支援事業」の採択結果を発表。連携事業では、血管拡張機器や三次元型画像診断装置など12分野で、中小企業の独自技術と大学や医療機関が連携し、先端医療機器の開発を支援します。
同省では、対象事業へ今年度10億円の補助金で支援するとともに、厚生労働省や文部科学省とも連携して臨床評価など実用化を加速させます。
中小の技術にチャンス!治療系医療機器の9割が輸入品
医療現場では、医療機器に関する医師など関係者のニーズや課題などが把握しにくく、先端技術を持つ中小企業でも参入が難しいとされてきました。連携支援事業によって課題が克服され、さらなる医療現場の効率化改善に中小企業の技術を生かしてもらいたいですね。
医療機器開発にはIT産業も乗り出しており、得意分野の画像技術やセンサー技術など、内視鏡やがん診断装置など革新的な技術開発が期待できます。医療現場では、治療系の医療機器の9割が欧米諸国などの輸入品に頼るなか、現場と中小企業、大学が一体で開発を目指せば、輸入品には負けない純国産の医療機器が生まれ、逆に輸出拡大のビッグチャンスに繋がります。
使いたいのに使えない医療機器:試験拠点創出で解消
国内の医療機器開発には、デバイス(医療機器)・ラグという欧米に比べ承認審査に時間がかかるため、欧米で使われている医療機器が国内では半分も使われていません。厚生労働省では、新しい医療機器の承認へ向け、臨床試験の整備を急ぎ、「世界に先駆けてヒトに医療機器を始めて使用する初期段階の治療が可能な拠点」を公募し、国立循環器病研究センターを採択しました。
同研究センターでの臨床試験により、海外で当たり前のように使用される先端医療機器が国内で使用できないデバイス・ラグを解消。さらに専任医師や立案に関わるコーディネーターが義務づけられ、Made in JAPANの革新的な医療機器の開発に一歩前進です。
被災地復興支援策:医療機器一大拠点創設に43億円計上
被災地の東北では、復興支援策として医療機器産業の一大拠点創設のための復興特区構想が検討され、第3次補正予算案に43億円を計上しました。東北大学を中核に岩手医科大学、岩手工学部など「医工連携」や、特区による税制優遇、薬事規制などの緩和で企業誘致や雇用創出を支援します。
厚生労働省は、被災地3県を対象に「東北発の革新的医療機器創出・開発促進事業」として、既に医療機器産業が多く立地する東北の強みを生かして最先端の医療機器開発拠点を目指します。世界の医療機器市場は、平成32年には約40兆円規模とみられていますが、現状では日本製医療機器が占める割合はわずか数パーセントにも満ちていません。産官民学が一丸となり成長産業へ取組み、日本らしい医療機器の開発で海外市場へ送り出したいですね。
▼関連サイト:オフィシャル「医療・介護産業、新規市場50兆円・新規雇用284万人へ」
●関連記事:福島県「医療特区」規制緩和:最先端!癌研究・医療機器開発・データセンター創設[2011.8.16配信]
●関連記事:医療機器:40兆円産業、先進医療を成長産業へ!「医療観光」増加期待[2010.11.9配信]
[2011.10.1]
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