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被災地地銀の取引先振り分け:追加融資受けられず事業再開難航の被災メーカー/中小企業のBCP 震災後「検討」増加も策定率伸びず:日本公庫調べ

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追加融資か「塩漬け」か、被災企業326社を振り分け:東北銀行
9月4日の報道で、東北銀行(岩手県盛岡市内丸3ー1 取締役頭取:浅沼新氏)が東日本大震災の被災地6店舗の主要取引先326企業について、早期再建が可能な企業と、当面追加融資できず、「塩漬け」せざるを得ない企業に分けたことが報じられました。「融資先の幕引き(破綻)の面倒を見るのも地域金融機関の重要な役目」と東北銀行幹部のコメントが掲載されています。

返済猶予されても追加融資なければ倒産/被災企業の再生の芽を摘むことなかれ!
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同記事で取り上げられているのは、岩手県沿岸で津波被害を受け、事業中断を余儀なくされたメーカー。周囲から事業再開を求められ、中堅メーカーとの事業提携を盛り込んだ再生計画を提示するも、追加融資を受けられず事業再開が難航しているとあります。
東北銀行による振り分けは、早期再建可能2に対して、塩漬け1という割合。つまりはおよそ100社もの企業の再生可能性を放棄するということ。地域経済、地域振興に与える打撃を想定した対応とはとても思えません。
同行はいわゆる「戦後地銀」。戦後復興資金を流通させるにあたり、主に中小企業に十分に行渡らせるために設立された銀行です。いまこそ、その本分に立ち返るべきではないでしょうか。

中小企業のBCP:震災後も策定は1割未満?
自然災害など、不測の事態における事業継続の方法や手段などを取り決めておくBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の重要性が再認識されています。従来は外資系など、一部の大企業のためのものといった印象を持たれていましたが、特に大震災後は、中小企業においてもBCP策定といった緊急時の対策を経営の「最重要課題」とする企業が増加しています。
日本政策金融公庫が取引先企業1万5270社を対象として6月に実施した調査によると、BCPを策定済みの中小企業は、東日本大震災後も10.6%にとどまっていることがわかりました。ただし、有効回答率は44%と半数を下回っており、実際に策定済みの中小企業は1割にも満たない可能性もあります。

防災資金融資、BCPノウハウ提供:急げ制度拡充
現時点では策定していなくとも「検討したい」とする企業が増加してはいる様子ですが、平成19年時点で大企業の策定率が27.6%であったことを加味すると、策定に要する資金や人材、ノウハウを持たない中小企業にとってはBCPが未だ「高尚すぎる」と捉えられている感があります。
同公庫では、防災に資する施設等の整備(改善及び改修を含む)を行うために必要な設備資金(土地に係る資金を除く)等を借り入れる制度があります。また、各都道府県の中小企業支援センターでは専門化の派遣制度もあります。今後は、事業継続計画に中長期経営計画書としての要素を加えることで、総合的な融資(運転資金・設備資金)を実現する等、制度の充実が急がれています。

[2011.9.8]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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