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再生エネルギー法成立:経産省方針・基金で新技術確立・新規企業参入促進

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再生エネルギー特別措置法:再生可能エネルギーの「全量買取」
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再生可能エネルギーの全量買取を盛り込んだ再生エネルギー特別措置法は、8月26日に全会一致で可決され成立。政府は来年7月の施行を目指します。全量買取法案は、地球温暖化の強化や国産エネルギー拡大を目的に施行され、太陽光や中小水力、風力、地熱、バイオマスから発電される電力を一定価格で電力会社が買い取ることを義務づけました。
家庭や企業など再生可能エネルギーで発電された余剰電力の買取分は、サーチャージ(賦課金)として電気料金に転嫁されるため、家庭での普及を見越し住宅メーカーなどではスマートハウスのシェア拡大にしのぎを削ります。新しい成長産業がいよいよ本格化し関連するビジネスの追い風となりそうです。

経産省・産業革新機構:基金創設でベンチャー参入を支援
経済産業省では、再生可能エネルギー産業への新たな参入や、新しい技術を応用したプロジェクトの育成を図るため、官民投資ファンドの産業革新機構を活用した支援を検討しています。同機構ではこれまでも企業に対して再生可能エネルギー事業の支援を行ってきましたが、新たに官民で基金を創設し、商品化手前などの新しい技術を生かしたベンチャー企業の育成を目指す狙いがあります。
一般の投資家や投資企業は、創設された基金の回収を第一考え、既に確立された技術や、実績のある技術を選ぶ傾向にあり、新しい技術を確率したベンチャー企業などの参入が難しくなっています。同省では、全量買取だけでは普及のペースが早まらないと考え、新しい技術をもつ企業の参入支援を検討するとしています。

再生可能エネルギー:RPS義務量1%で普及するの?
再生可能エネルギーは、これまでも設備導入の際の「補助金」や、電力会社が一定以上再生エネルギーを使用することを義務づけた「RPS(Renewables Portfolio Standard:再生可能エネルギーの利用割合の基準」によって普及を促しました。せっかくのRPS義務量がわずか1%では、発電事業者は採算を考え、積極的な参入検討をしないでしょう。このままでは、再生可能エネルギー法導入の呼び水ともなる「補助金」は廃止され、一部の資金力のある企業だけが電力市場を占めることになりかねません。
新しい再生可能エネルギー産業へ参入を検討する企業は、全量買取やより多くの基金などの支援体制の充実によって、新しい電力市場に参入するチャンスは今です。

再生エネルギーへ代替えで電力料金値上げは止められるか
再生可能エネルギーはC02削減等と環境にはやさしい反面、発電コストや買取り価格など課題も残ります。国内の製造業など大口の電力使用工場に対し、円高をチャンスと見た韓国が日本企業の工場誘致を懸命にしかけています。韓国の電力料金は日本の約半分です。それなのに再生可能エネルギーに代替えを名目に電気料金を値上げしたのでは、クリーンエネルギーの普及、原発の縮小も本末転倒ではないでしょうか。
再生エネルギー発電コストにおいては劣ることも事実で、産官学では共同で発電力向上など技術開発も進んでいます。産業革新機構など基金の創設によって再生エネルギー関連の新技術が日の目を浴び、新たな企業の参入で再生可能エネルギーを普及させ波及効果で産業の活性化を目指したいものです。

[2011.9.3]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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